少子高齢化が進む昨今、年金支給金額の水準が下がることも見込まれ現役世代を中心に公的年金制度への不安が高まっています。勤め人生活も後半戦を迎え、老後生活も視野に入って来る40代。老後問題を報じるニュースを見て漠然とした不安をかき立てられる人も多いのでは。最新の世論調査から不安解消のための処方箋を探します。
記事提供:Finasee(フィナシー)
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全国5000世帯を対象に金融資産や借入金、家計の状況などを聞いた調査「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(金融広報中央委員会)※から40代の回答を見ていきましょう。まずは「老後の生活についての考え方」について、単身者の回答からです。
※家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯、単身世帯、総世帯の各調査
40代単身者の85.2%が「老後生活が心配」と回答。そのうち「非常に心配」が57.7%を占めています。老後の一人暮らし、頼る人も少ない、となれば不安をいだくのも当然でしょう。では、二人以上世帯だと事情は異なるのでしょうか。
40代二人以上世帯も「老後生活が心配」と回答した人は85.8%と、単身者と同程度の水準でした。ただし「非常に心配」は47.8%と単身者に比べて約10%下回っています。家族がいることが安心感につながっているのかもしれません。
続いて老後が心配な人の理由を単身者から見ていきましょう。
まずは単身者からです。
40代単身者が老後を心配する理由1位は「十分な金融資産がないから」73.2%でした。2位は「年金や保険が十分ではないから」で47.5%。3位は昨今のインフレを反映してか、「物価上昇」が31.5%と続きます。老後2000万円問題もあってか、金融資産残高十分ではないことに不安を持つ人が多いようです。次に二人以上世帯を見ていきましょう。
次は二人以上世帯です。
40代二人以上世帯が老後を心配する理由として寄せた回答の順位は単身者とほぼ同じ結果となりました。1位は「十分な金融資産がないから」72.1%。2位は「年金や保険が十分ではないから」の44.2%、3位は「物価上昇」35.9%と続きます。
単身者とギャップが大きかったのは、「再就職などにより収入が得られる見込みがないから」「マイホームを取得できる見込みがないから」で、いずれも二人以上世帯が約5%少ない水準。逆に「物価上昇」は約4%高い結果となりました。
次に、老後の生活を心配していないと答えた40代の方々のその理由を見ていきましょう。まずは単身者からです。
老後を不安視する人もいる一方、心配してはいない人もいるようです。同調査では、40代単身者世帯で「老後を心配していない」と答えた人たちにその理由を聞いています。1位は「その他」で47.9%でした。
現在40代の人の多くが若年期に雇用が不安定な時期を過ごしてきた、いわゆる「就職氷河期世代」に当たります。一方の現在は、人手不足で若年層に至っては売り手市場とも言われる状況です。
働き口があるなら、なんとかやっていける、そう前向きに考えている人も少なくないのかもしれません。いずれにしても「その他」の具体的な内容が気になるところです。2位は「金融資産」27.1%、3位は「年金・保険」20.8%と続きます。
選択肢にはありませんが、例えばiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)に加入して所得税や住民税の控除により税金負担を減らすなどの手段もあります。加入条件はありますが、老後不安を少しでも解消するために検討してみてはいかがでしょうか。
次に、二人以上世帯を見ていきます。
40代二人以上世帯が老後を心配していない理由1位は「十分な金融資産があるから」で34.2%という結果になりました。逆に単身者で1位だった「その他」は二人以上世帯では18.1%で4位に。
40代であれば老後まで20年近い時間があるわけですが、やはり、今現在、いくら金融資産を保有しているかが老後の生活を考える上では重要なようです。
それ以外にもいくつか単身者が寄せた回答とのギャップが大きい項目がありました。例えば、二人以上世帯の28.2%が「退職一時金があるから」を老後の生活に心配していない理由として挙げています。これは、単身世帯の約2倍にあたります。
単にお金を貯めるだけではなく、退職一時金がもらえる定年まで勤めあげられるように、あるいは老後も定年延長や再雇用で無理のない範囲で働き続けられるように、心や体の健康を保つことも重要な準備といえそうです。
<調査概要>
調査名:「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(金融広報中央委員会)
調査時期:令和5年6月23日~7月5日
調査対象:【単身世帯】全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、【二人以上世帯】全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、【総世帯】令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表
調査方式:インターネットモニター調査
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。