「お金はまず貯金」「投資は余裕のある人がするもの」――。
こうした考え方は、長い間、日本の家計の基本でした。もちろん、今でも貯金は大切です。けれど、2026年4月時点では、貯金だけで将来に備える考え方は見直しが必要になっています。
なぜなら、私たちは以前より長く生きるようになり、しかも物価が上がる時代に入っているからです。老後に必要なお金は増えやすくなっている一方で、預金だけではお金の価値を守りにくくなっています。これから必要なのは、「貯金か投資か」を選ぶことではなく、貯金と投資の役割を分けて考えることです。
記事提供:RELOみらいPlanNavi
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厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。さらに、65歳時点の平均余命は男性19.47年、女性24.38年あります。
つまり、多くの人にとって老後は「定年後の短い期間」ではありません。20年、30年近く続く生活期間として考える必要があります。
現役時代は、毎月の給与が家計を支えてくれます。ところが引退後は、年金と自分の資産が生活の土台になります。もし長く生きれば、そのぶん必要なお金も増えていきます。
これが、いまよく言われる「人生100年時代」の本質です。長生きそのものは喜ばしいことですが、家計の面では“お金が先に尽きるリスク”も意識しなければなりません。
もう一つの変化はインフレです。総務省統計局によると、2025年平均の消費者物価指数は総合で前年比3.2%上昇しました。
物価が上がると、同じ100万円でも買えるモノやサービスは減っていきます。銀行口座の残高が減らなくても、実質的にはお金の価値が目減りしているわけです。
たとえば、以前は1,000円で買えたものが1,030円、1,050円とかかるようになれば、生活費は少しずつ重くなります。毎年の上昇幅は小さく見えても、10年、20年と積み重なると家計への影響は決して小さくありません。
「元本割れしないから預金が安全」という考え方は、インフレ局面では半分だけ正しいと言えます。額面は守れても、購買力までは守れないからです。

実際、日本の家計も少しずつ動き始めています。2025年末の家計金融資産は2,351兆円で、そのうち現金・預金の比率は48.5%でした。まだ半分近くを現預金が占めていますが、以前に比べると「預けっぱなし一辺倒」ではなくなってきています。
背景にあるのは、新NISAの浸透や、物価上昇への意識の高まりです。
ただし、ここで大切なのは「みんなが投資しているから自分も急いで始める」ことではありません。初心者が持つべき視点は、預金をやめることではなく、預金だけに頼らないことです。
お金の管理は、3つに分けると分かりやすくなります。
まずは使うお金。これは毎月の生活費です。家賃、食費、水道光熱費、通信費など、日常に必要なお金です。
次に備えるお金。病気、失業、家電の買い替えなど、急な出費に備えるお金で、目安としては生活費の6か月分程度を確保しておくと安心です。
そして3つ目が、育てるお金。すぐには使わないお金を、長い時間をかけて少しずつ増やしていくための資金です。

この「育てるお金」に活用しやすいのが新NISAです。初心者なら、いきなり個別株に挑戦するより、つみたて投資枠で分散型の投資信託を毎月コツコツ積み立てる方法が始めやすいでしょう。全世界株式や先進国株式など、幅広く分散された商品なら、一つの会社の値動きに家計が振り回されにくくなります。
初心者ほど、「勉強してから」「もっと詳しくなってから」と考えがちです。ですが、お金の管理も投資も、最初から完璧に理解する必要はありません。
むしろ大切なのは、固定費を見直し、生活防衛資金をつくり、そのうえで無理のない金額から始めることです。たとえば月1万円の積立でも、家計の仕組みは確実に変わり始めます。
人生100年時代に必要なのは、貯金を否定することではありません。
貯めるだけの家計から、役割ごとにお金を配置する家計へ。
この発想にアップデートできるかどうかが、これからの安心を左右します。

RELOみらいPlanNavi編集部
RELOみらいPlanNaviを運営するチーム。資産形成や年金、保険、住宅、相続など、暮らしとお金に関わるテーマを中心に、会員の皆さまのライフプラン実現に役立つ情報を発信している。専門的な内容も分かりやすく伝えることを大切にし、日々の生活や将来設計に活かせる実践的なコンテンツの制作・編集を行っている。