60代は人によってライフスタイルが劇的に分かれる年代だ。その経済的基盤となる金融資産の内訳には、各世帯の「切実な選択」が色濃く反映されている。最新の調査から浮かび上がったのは、預貯金という安全資産を守りつつも、意外なほど多様な商品へ資金を投じている実態だ。単身と二人世帯、それぞれのリアルな数字を参考にしてみては。
記事提供:Finasee(フィナシー)

60代は人によって顕著にライフスタイルが違う年代だろう。仕事をリタイアした人もいれば、フルタイムで現役並みに働き続けている人、仕事と趣味を程よく両立している人など…。生活スタイルは異なれど、老後資金への関心は共通項ではないだろうか。
全国20~80歳の世帯主を対象に金融資産や借入金、家計の状況などを聞いた調査「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(金融経済教育推進機構)の結果を参考に60代世帯の預貯金、株式や投資信託などの保有状況を見ていこう。
調査では金融商品の種類ごとに保有額を尋ねている。単身世帯の結果から見ていくと、1位は預貯金で853万円だった。なお、ここでいう預貯金とは、生活費として引き出しをする分は含まない。運用や将来のために蓄えている分のことを指す。


60代単身世帯が持つ金融資産の1位は預貯金で平均853万円(うち421万円は定期性預貯金)。2位には「株式」(303万円)、3位には「投資信託」(264万円)がランクインした。70代と比較すると株式は90万円ほど少なく、投資信託はほぼ同額だった。
株式や投資信託は預貯金とは違い、価格が変動する金融商品であり、リスク性資産とも呼ばれる。60代を迎え、そろそろ安全資産である預貯金へシフトさせていこうと考えている人もいるだろう。しかし調査結果を見ると、株式と投資信託の合計は567万円に達し、金融資産全体の約3割を占める。大まかに捉えると預貯金3に対し、株式と投資信託が2の割合だ。インフレや円安、新NISAの普及が背景にあるのか、リスク資産での保有割合が高いようだ。
●前編
「【60代】金融資産保有額ランキング、半数の世帯が「1000万円以上」持っている?【最新版】」
次に60代二人以上世帯の保有額をみていこう。


60代二人以上世帯の金融資産額1位は預貯金(1250万円)だった。しかし2位の「株式」と4位の「投資信託」を合わせると1034万円に達し、リスク性資産が1000万円の大台を超えている点は見逃せない。
また、3位の「生命保険」(325万円)や5位の「個人年金保険」(186万円)など、保険商品による備えも厚い。注目すべきは6位の「債券」(116万円)や10位の「金銭信託」(21万円)など、多様な商品にも幅広く金額を投じている点だ。投資の格言に「卵を一つのカゴに盛るな」というものがある。預貯金、有価証券、保険のほかにも複数を使い分けながら多角的に資産を守り、育てる分散意識が浸透しているようだ。
60代の資産状況は、単身・二人以上世帯ともに預貯金を軸としつつも、有価証券や保険などを組み合わせた分散傾向が鮮明だ。特に株式や投資信託への投資意欲は高く、インフレ時代を見据えた備えがうかがえる。インフレや長寿化など、預貯金だけでは守りきれない現実と向き合う60代の「攻めの姿勢」が見える。かつての定年後のイメージとは異なり、リスクを取ってでも資産寿命を延ばそうとしている人が増えているのかもしれない。
<調査概要>
調査名:「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(金融経済教育推進機構)
調査時期:令和7年6月20日~7月2日
調査対象:【単身世帯】全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、【二人以上世帯】全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)
調査方式:インターネットモニター調査
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。