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定年後も“生涯安定収入”を目指す! 自分専用のライフプランを作るための「4つの重要ポイント」

会社員のみなさんは職場の資産形支援制度をどれくらい使いこなせているでしょうか。もし「使ったことがない」「どんな制度があるか知らない」という方がいれば、それはかなりもったいないことかもしれません。本連載では、職場の制度(職域)を活用して「お金に不安なく健全に向き合える状態」(ファイナンシャル・ウェルビーイング)を実現するための知識をご紹介します。今回のテーマは60歳からのライフプラン」です(全4回の3回目)。 ※これから定年を迎える世代には「配偶者が専業主婦(夫)の世帯」が多いことから、本稿では「配偶者が専業主婦(夫)の世帯」のケースをモデル世帯としています。

記事提供:Finasee(フィナシー)


第1回では生涯安定収入を目指すライフプランについて、第2回では生涯安定収入をかなえる3カ条の詳細についてお伝えしてきました。第3回となる今回は、生涯安定収入を目指すライフプランを自分専用に作り替える時のポイントをご紹介します。

【関連記事】

第1回:【50代必読】知っておきたい定年後のお金の話―“生涯安定収入”をかなえるための極意3カ条とは?


第2回:「年金繰下げ」「企業年金の一括受取」が唯一の正解ではない! 夫婦で安心老後を目指すための新常識

グラフ (29).png

ご紹介した生涯安定収入プランは、65歳までは働き続けて給与収入を得ること、配偶者も含めて家族単位で安定収入を目指すことを前提としています。

しかし、人によって60歳以降の働く環境や家族構成、収入として期待する金額は異なるため、モデルプランの基本的な考え方をおさえたら、自分に合ったプランに作り替えていきましょう。

このパーソナライズの時のポイントは大きく4つあります。

ポイント① いつまで働き、
いつから年金受給するかを考える

1つ目は公的年金を受け取り始める年齢です。
 
モデルプランでは、65歳までは働いて収入を得る、それ以降は公的年金を受け取って収入の柱とすることをご提案しました。
 
ただし、65歳以降も働くという方は前述した65歳での年金受給がベストとは限りません。なぜなら、年金を受け取れる年齢に達してもなお会社からの給与収入がある場合、年収に応じて一部の年金が支給停止になる可能性もあるからです。

自分がいつまで働き続けたいか、そしてそのことが年金受給にどのような影響を与えるかを考慮して、必要な場合は公的年金の繰下げ受給も検討していきましょう。

※参考:日本年金機構「働きながら年金を受給する方へ」
外部リンク https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairou.html

ポイント② 企業年金を
どのパターンで受け取るか考える

2つ目に考えたいのは企業年金の受け取り方です。受け取り方にはさまざまなパターンがあるため、加入する企業年金別で考えてみます。

確定給付企業年金(DB)の場合
確定給付企業年金の場合、「終身年金」であれば迷わず年金受取を考えると良いでしょう。また、「利回り2.0%で20年受け取れる制度」という条件を満たしている場合も年金受取を第一に考えます(税や社会保険を考慮すると、この条件を満たすかどうかが「一時金受取と年金受取のどちらがおトクか」の分岐点と考えられるため)。

ただ、まれに“企業年金”と言いながら「受取期間が5年」などと短かったり、「受給中の利回りがわずか1%」などと低かったりするものもあるため、そうしたケースでは一時金受取も選択肢として検討します。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の場合
企業型確定拠出年金の場合、一時金としてすべて受け取るのではなく、運用を続けながら年金で受け取ることを前提に考えましょう。

この時、運用を継続する過程で「資産が減ってしまうかも……」という不安が大きい方には「終身年金の保険商品(元本確保型)」で運用することも有効な選択肢となります。

中には企業型確定拠出年金を一時金として受け取ったあと、自分で運用しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、企業型確定拠出年金は60歳時に一時金で受け取らずに運用継続する方が、「運用益非課税」のメリットが大きくなります。さらに、65歳まで厚生年金の被保険者として働いて掛金をかけていれば、退職所得控除も毎年増えていきます。

確定給付企業年金+企業型確定拠出年金の場合
両方の制度がある場合は、まず確定給付企業年金を年金で受け取ることを考えます。そして企業型確定拠出年金は、75歳までの間で一時金か年金かいずれかで受け取ることを考えると良いでしょう。

ポイント③ 持株会や企業型確定拠出
年金の運用を継続するか考える

3つ目は運用の継続をするかどうかです。

モデルプランでは、持株会で築いた資産は優先して取り崩すことをおすすめしました。ただし、持株会は単位株で運用を継続できるケースもあるので、取り崩さず運用資産として保有することも1つの選択肢です。

また、企業型確定拠出年金(選択制)は前述した通り、運用を継続する方が「運用益非課税」のメリットが大きいため、すぐに使う可能性がなければ75歳まで運用継続を考えてみても良いでしょう。

ポイント④ 住宅ローンを
繰り上げ返済するかどうか考える

4つ目は住宅ローンを繰り上げ返済するかどうかです。
 
60歳時点で保有資産は1700万円、住宅ローンは700万円くらい残っているのが平均的な家計調査の実態です。この住宅ローンは「退職金をもらったから全額繰り上げ返済しよう」と考える方も多くいます。
 
しかし、例えば700万円の住宅ローンを返したとすると、資産としての700万円も失ってしまうことになります。この700万円を含めて資産を運用していたら……運用で増える金額も大きくなっていたかもしれません。
 
このように考えると、65歳まで給与収入があり、加えて借入金利が低レートの場合は、当面繰り上げ返済せず返済予定資金を含めて運用することを考えても良いでしょう。

以上が生涯安定収入プランをパーソナライズする時の基本的な考え方です。さらに自分にぴったりなライフプランを検討する場合は、ライフプランシミュレーションソフトなどを使って、税金・社会保険料まで含めて確認することをおすすめします。

執筆者

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。