築いた財産は、できるだけ多く子孫に受け継ぎたいもの。相続税対策の一つとして、取り上げられることも多いのが「生前贈与」だ。税制改正により、2024年1月から贈与税のルールが変更されたこともあり、にわかに注目を集めている。とはいえ、誰に贈与すべきか迷う人も多いのでは? まずは制度の基本を押さえつつ、世間の実情を見てみよう。
記事提供:Finasee(フィナシー)
生前贈与とは言葉のとおり、生きている間に財産を贈与すること。その方法は大きく分けると「相続時精算課税制度」「暦年贈与」の二つある。大きなメリットは“相続税を減らせる”可能性がある点にある。
相続税は10%~最大55%、相続財産が増えるほど、税率は上がっていく仕組みだ。そのため生前贈与によって相続財産を減らしておけば、税率が下がる可能性がある。すると相続税を抑えられるというわけだ。
子や孫に資産を譲っておけば、早くから資産運用などに活用してもらうことも可能。時間を味方につけることで、将来の資産形成を助けるというメリットも期待できるのだ。
ちなみに生前贈与の相手は、自分で選ぶことができる。配偶者や子どもといった親族だけではなく、血縁関係のない他人や団体にも贈与可能だ。
では実際には、誰を候補にすることが多いのだろうか。社会福祉法人 日本介助犬福祉協会がアンケート(対象1009人)を行ったところ、次のような結果となった。
1位は「子どもや孫」(70.1%)で、2位は「配偶者」(36.4%)。親族を優先的に考える傾向が見て取れる。一方で、「法人・団体」(11.9%)と「第三者」(9.6%)と、親族以外への贈与を検討している人も一定数いるようだ。
では、団体に生前寄付・遺贈寄付を行う場合、どのような団体が候補に挙がるのだろうか。
「生前寄付・遺贈寄付を行う場合どのような団体を検討したいですか?(複数選択可)」と質問したところ、次のような結果となった。
1位は「公益法人」(37.6%)で、4割近くが候補として検討している。2位は「NPO法人」(27.1%)、そして3位は「福祉法人」(24.9%)と続いた。
いずれの団体にも共通するのは、営利目的ではなく、社会全体にとって有益な活動を行っているということ。さらには、医療や社会福祉、教育、地域振興など、特定の活動分野に特化して活動することが多いのも特徴だ。
つまり、自分が築いてきた財産を贈与すれば、社会課題の解決に貢献できるということだ。
実際に「生前寄付・遺贈寄付にはどのような意義があると思いますか?(複数選択可)」という質問に対して「社会貢献」と答えた人は「63.3%」にも達している。さらには「35.0%」が「財産の有効活用」と回答した。
多くの人が、生前寄付や遺贈寄付を「社会貢献」として捉えると同時に、自身の財産を未来のために活かす行動と考えていると言えそうだ。
最後に生前贈与の認知度についても見ておこう。同アンケートでは「生前寄付・遺贈寄付を知っていますか?」と質問。結果は次のとおり。
「知っている」と答えた人は約7割(65.6%)。アンケートに答えた人の大半が生前贈与について知っているようだ。
さらに同アンケートでは、「どのような経緯で知りましたか?(複数選択可)」という質問も。インターネット全盛時代ではあるものの、1位は「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などのメディアから」(55.6%)という意外な結果に。
生前贈与を考える世代は、主に高齢者層であると推測される。若年層と比べると、テレビや新聞といったマスメディアを日常的に利用することが多い年代層ともいわれる。そのため約6割という数字につながったのだろう。
そして2位は「WebサイトやSNSなどインターネット上から」(37.5%)、3位は「家族から」(21.5%)という結果になった。
7割近くの人が認知し、2024年の税制改正により、相続時精算課税制度に「年間110万円までの贈与なら非課税」という基礎控除が新たに設けられ、注目されている生前贈与。ただし110万円を超えれば当然、贈与税がかかる。同アンケートで「生前贈与を検討するにあたって税金を負担に感じますか?」と質問したところ、約8割(80.3%)が「はい」と回答していた。
負担するのは「贈与された側」ではあるものの、結果として引き継げる財産は目減りすることに。相続や贈与の制度は複雑で、「こうすれば得になる」という話を聞いて実践しても、かえって損する可能性もゼロではない。
生前贈与を行うなら、制度に関する知識を深めることが大前提。その上で計画的かつ戦略的な贈与を心がけ、資産の有効活用を実現したいものだ。
<調査概要>
調査名:「生前贈与や遺贈寄付の贈与先/寄付先」と「補助犬への支援」に関する調査
調査時期:2024年10月29日(火)~2024年10月30日(水)
調査対象:調査回答時に遺贈寄付・生前贈与・生前寄付を既にしている/検討している40代以上の男女と回答したモニター
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。