「周りのみんなはどのくらい貯金している?」「何をいくら持っているのだろう…」など、親しくあれどもなかなか聞けないお金の事情。「老後2000万円問題」「株価暴落」…ニュースで見かけるたび、気にはなれどもじっくり調べる時間のない日々。そんなあなたに最新の世論調査から30代の金融事情をお届け。今後の資産形成に役立つヒントを探してみては。
記事提供:Finasee(フィナシー)


このページの目次
「金融資産」がある30代は何%?
全国5000世帯を対象に金融資産や借入金、家計の状況などを聞いた調査「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(金融広報中央委員会)※から30代の回答をランキングで見ていきましょう。まずは「金融資産」についてです。※家計の金融行動に関する世論調査2023年(二人以上世帯、単身世帯、総世帯の各調査)
30代の約7割が金融資産を持っていると答えています。この調査では金融資産を「預貯金のうち運用資金や将来に備えたもの(生活費用の備え分などを除く)と、有価証券(投資用の株式や投資信託など)」と定めています。当面の生活費など以外に、預貯金を含めて金融資産を持っている人が多いようですね。
30代に人気なのは「投資信託」
続いて「どんな金融商品を持っているか」についてです。

30代の保有金融商品ランキング1位は95%以上が持っている「預貯金」でした。2位「投資信託」は約3人に1人が持っており、20代の約4人に1人と比べて増加。
3位は「株式」でこちらも20代より10ポイントほど増加。4位「積立型保険商品(生保・損保)」、5位「個人年金保険」の保有率は20代の倍となりました。30代はそろそろ保険も気になる世代ということでしょうか。なお「いずれも保有していない」人は4.3%。20代と比較して半減しています。
「30代は意外とお金持ち?
単身は「1000万~1500万円未満」が2
位
30代が「持っている金融資産の金額」について、単身世帯と二人以上世帯それぞれをランキングで見てみましょう。

1位は「100万円未満」が最も多く約2割。続いて2位は「200万~300万円未満」と「1000万~1500万円未満」がそれぞれ約1割で同率でした。「1000万~1500万円未満」の人が意外といます。なぜそんなに持っているのか気になりますが、年収が高いのでしょうか。
4位も同率で「100万~200万円未満」、「300万~400万円未満」がそれぞれ約1割弱ずつ。
なお金融資産保有額の平均は912万円でした。20代単身の約220万円より4倍も高いのは、1000万円以上の人が増えている影響と見られます。なお30代単身の中央値(※)は300万円。20代の約100万円の3倍となっています。
※数値データを並べた時に中央に来る値のこと
「30代家族あり」はいくら持ってい
る?
30代が世帯主の二人以上世帯のランキングは以下のとおりです。

1位は「100万円未満」が最も多く17.2%。ただ20代が世帯主の二人以上世帯と比較すると割合は半減しています。2位「100万~200万円未満」、3位「200万~300万円未満」と続きますが、5位で「1000万~1500万円未満」が急浮上しています。
なお金融資産保有額の平均は856万円となっており、20代の約400万円から倍になっています。中央値は337万円となりました。30代の金融資産は平均すると単身世帯、二人以上世帯とも20代の倍以上に増えています。
保有額は投資信託よりも株式の方が多い
続いて「何の金融資産をどのくらい持っているのか」についても見てみましょう。単身世帯、二人以上世帯ともにトップは「預貯金」でした。単身世帯のランキングは以下のようになりました。

単身世帯の金融資産の平均は912万円と前述しましたが、そのうち半分は「預貯金」です。20代と比較すると約4倍、定期性預貯金に限っては約10倍にも増えています。2位は「株式」で255万円、3位が「投資信託」112万円でした。20代単身では株式と投資信託が37万円で同率2位でしたが、30代では株式の保有金額が7倍近く増加しています。
30代が世帯主の二人以上世帯の金融資産の平均は856万円と前述しましたが、そのうち1位は「預貯金」で408万円(うち定期性預貯金127万円)を占めています。以下、2位は「株式」180万円、3位「投資信託」85万円。この順位は30代単身者と同じです。
なお、20代が世帯主の二人以上世帯では2位が「生命保険」、3位が「損害保険」でしたが、30代では株式や投資信託などの運用商品の保有額がぐっと増え、保険商品を上回る結果となりました。
30代、金融商品の選び方がポイントに
30代は、単身者、二人以上世帯とも保有金額が20代よりも平均的に増えていること、株式や投資信託などリスク性資産(リスクを取ってリターンを求める商品)での運用額が増えていることが分かりました。資産形成において30代はまだまだ先が長く、投資に活用できる時間が十分あることはメリットです。収入に見合った金融商品の選び方を吟味するなど、バランスを取りながら資産を増やしていきたいですね。
<調査概要>
調査名:「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(金融広報中央委員会)
調査時期:令和5年6月23日~7月5日
調査対象:【単身世帯】全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、【二人以上世帯】全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、【総世帯】令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表
調査方式:インターネットモニター調査
執筆者
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。