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不労所得で老後のお金の不安をなくす、50歳からの新NISA×高配当株投資とは

50代になると、自分の老後をぐっと身近に感じるようになる方が多くなり、老後の資金を意識する方が多くなるのではないでしょうか。一般的に退職時までは資産形成をして、退職後は、資産取り崩し期へと変わりますが、いつまで生きるかわからない中で、資産の取り崩しは、精神的に不安になるものです。そこで、資産の一部をキャッシュフローがある資産に変えて、公的年金とは別に不労所得が入ってくれば、心理的な不安も減り、老後の人生も楽しめるようになります。今回は、新NISAを活用して定年後に毎月不労所得を生み出す高配当株投資についてお話します。




50代でも十分な資産を形成ができる

おおよそ子どもの養育が終わり、会社での役職も上位になる50代は、自由に使えるお金が増えることから、大きな資産を形成する最後の期間といえます。多くの企業で定年とされる65歳までに、50歳から数えて最長15年間、資産をつくることができます。
 
例えば投資信託で積み立て投資を行い、老後資金2000万円をこの15年間で、ゼロから資産を形成すると考えてみましょう。この場合、月7万5000円を年利5%で運用できれば達成します。
 
とはいえ、定年後にこれまで積み上げた資産を取り崩すだけだと、不安が募るでしょう。そこで、定年後の資産取り崩し期を見据えて、不労所得を得られる資産に投資しておくのもおすすめです。
 
定年後のキャッシュフローを作るための資産には、高配当株や高配当株ファンド・ETF、債券ファンド・ETF、REITやREITファンド・ETFなどが挙げられます。これらに投資を行うことで、定年後に配当金や分配金の形で不労所得を得ることができます。その際、新NISAを活用すれば、非課税期間が無期限になりますので、税金がかからず、配当金や分配金が手に入る状態を作ることができます。また、NISAではいつでも換金して自由に引き出せるため、資産の取り崩し運用とも非常に相性がいいです。
 
例えば、新NISAを利用して、高配当株に投資をして、定年後に資産1000万円になっていた場合、配当利回り(分配金利回り)4%なら、毎年40万円の配当が非課税で受け取れます。
 
ただし、高配当株で人気のある米国株・米国株ETFの配当金は、新NISAであっても10%の米国内の課税があるのでご注意ください。
重要なのは、定年までに資産を作り終えることではなく、老後のキャッシュフローを作ることです。資産運用のゴールは、65歳ではなく、亡くなるまでと考えましょう。

高配当株とは?増配株とは?

上記でお伝えたしたように、定年後のキャッシュフローを作るための資産には、高配当株を始めさまざまなものがありますが、今回は、高配当株、増配株についてお話します。
 
そもそも高配当株とは、株価に占める配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄のことです。「配当利回りがいくら以上だと高配当株」という明確な基準はありませんが、3〜4%を超えてくると高配当といわれます。
 
配当金は、会社の事業が順調なときに、株を持っている株主に支払われる利益の一部です。そして高配当株とは、株価に占める配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄のことをいいます。
 
たとえば、日本株と米国株の高配当株上位10銘柄は、次のとおりです。

日本株と米国株の高配当株上位10銘柄

企業名になじみがないと思う方も多いと思いますので、参考までに業種の情報を入れています。業種がわかればどんな会社かイメージが湧くでしょう。日本株は不動産業・サービス業などが多くなっていますね。米国株は日用品などの一般消費財やIT通信にかかる企業が多くなっています。配当は通常、日本株であれば年 1〜2回、米国株だと年4回もらえます。
 
また、高配当株とともに確認したいのが、増配株です。増配株は配当金の金額を増やしてくれる銘柄のこと。特に、長年にわたって毎年配当金の金額を増やしている銘柄を連続増配株といいます。増配によって配当が増えるだけでなく、株価もさらなる上昇が見込めます。そのうえ、増配株は業績のよい銘柄が多いため、市場全体が暴落している時にも強いという特徴もあります。
 
日本株・米国株の連続増配株上位10銘柄は、次のとおりです。

日本株・米国株の連続増配株上位10銘柄

日本の連続増配株として有名なのは花王(4452)で、34年と独走しています。これでも十分長いですが、米国はさらに長く、アメリカン・ステイツ・ウォーターの69年を筆頭に、60年を超えて増配している会社が多くあります。
 
業種で見ると、日本株は化学・金融・情報通信が多くなっています。対する米国株は公益事業・一般消費財・工業が多くなっています。インフラと言われているような業種は安定しているので、高配当株や増配株になりやすい特徴があります。
市場はときどき暴落します。ITバブルの崩壊、リーマンショック、コロナショックといったものを乗り越えて連続増配しているわけですから、さすがの一言です。
 
最近、日本株は株主優待を廃止して配当に力を入れる会社が出てきていますので、今後は高配当株・増配株はますます人気になっていくかもしれません。

高配当株・増配株はどう選ぶ?

高配当株・増配株の上位10銘柄がわかったら、あとはこれらに投資しようとするのは、ちょっと待った!配当金がたくさんもらえたとしても、資産の売却を考えたときに、肝心の株価が下がってしまえば元も子もないからです。
 
配当利回りは「1株あたりの配当金÷株価×100」で算出されます。
「株価」が計算式に入っているので、配当利回りが高い銘柄の中には、「株価が下がって配当利回りが高くなっている」銘柄が入っている可能性もあります。株価が下がる要因は様々ですが、個別要因で大きいのは業績悪化でしょう。配当利回りだけ見て高配当株に飛びつくと、資産を減らしてしまいかねません。
 
また、連続増配もあくまで過去の実績であって、今後も増配を続ける保証はないことに注意です。会社の業績や財務が悪化すれば、増配をしなくなるどころか、配当を減らす減配や、配当をなくす無配を行う可能性もあります。
 
高配当株・増配株を選ぶ際には、好業績かどうか、財務は健全かなどを確認する必要があります。
 
具体的には、次のポイントを確認しましょう。

高配当株・増配株のチェックポイント①:売上高や営業利益が大きいか

売上高は会社の活動で得られた収入の合計額です。年々右肩上がりになっているかをチェックします。また、本業であげた利益を表す営業利益(売上高から売上原価と販管費を差し引いた残り)も一緒にチェック。過去3〜5年と今後2年間の予測が右肩上がりで伸び続けている会社が有望です。

高配当株・増配株のチェックポイント②:営業利益率・経常利益率が高い

営業利益率は売上に占める本業で稼いだ利益の割合、経常利益率は営業利益からさらに営業外収益・費用を差し引きした、会社の収益力を測る指標です。同じ業種の他社と比べて高いなら、利益を稼ぎ出す力が強いと判断できます。

高配当株・増配株のチェックポイント③:1株あたり利益(EPS)が年々増加している

1株あたり利益とは、会社の最終的な利益である当期純利益を発行済み株式数で割ったもの。1株あたり利益が大きく、年々増えている会社は堅実に成長していることを表します。

高配当株・増配株のチェックポイント④:借金が少ないか

会社の成長には、レバレッジ(借金)が欠かせません。とはいえ、度を超えた借金があると財務的に苦しくなります。会社にあるお金のうち、返さなくていい部分(自己資本)の割合を示す「自己資本比率」をチェック。50%以上だと安全性が高いと判断されます。
また、会社の有利子負債が少ないこと、利益剰余金が多いことも判断材料に。有利子負債は、利子をつけて返さなければならないお金ですので少ないほど健全です。また会社が蓄えている利益剰余金が多いということは、それだけ経営が順調だということを表します。

高配当株・増配株のチェックポイント⑤:不況に強い業種か

業績や株価が比較的安定している、不況に強い業種の銘柄がいいでしょう。不況に強い業種には、食品、医薬品、電力・ガス、鉄道、通信などが該当します。そうした業種の好業績銘柄に投資しておけば、配当金も安定して得られる期待ができます。
 
投資信託やETFを通じて高配当株、債券、REITに投資する際は、信託報酬(経費率)が低いかどうかを必ずチェックしましょう。信託報酬(経費率)は長期になればなるほど、利益を圧迫する要因です。

まとめ

以上、高配当株・増配株に投資して、定年後のキャッシュフローを作る方法についてお話しました。50代は、まだまだ資産形成期であると同時に老後の資産取り崩し期に向けて準備する世代でもあります。ぜひ、新NISAを活用して、公的年金以外の不労所得作りも行っていきましょう。

執筆者

高山 一恵(たかやま かずえ)

(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やチャンネル登録者2万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)など著書累計160万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。