6月は新年度の準備も終わり、ちょうど1年の折り返しの時期になります。夏休みまでまだ期間があり、比較的大きな出費が少ない時期なのでお金を貯めやすいタイミングといえるでしょう。上半期までにしっかりとしたお金の計画を立てておくことで、下半期の貯蓄にも良い影響をあたえることができます。
この記事では、6月の貯蓄力アップの時期を前に知っておきたいことについて紹介していきます。
6月が貯蓄スタートに向いている理由
4月に新年度を迎え、新たな気持ちで貯蓄をはじめようと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、4月は入学や就職、歓迎会など、新生活の準備や交際費の出費が増えがちです。5月はゴールデンウィーク、7月、8月は夏休みなどの大きな連休があり、旅行やレジャー代のほか光熱費などもかさむ時期です。
一方、6月というのは、祝日がなく大きなイベントもない、出費の少ない時期といえるでしょう。加えて一般的にボーナス時期でもあります。
ちょうど1年の折り返しである6月に貯蓄をスタートできるよう、今後のライフプランを見直し、貯蓄の計画を進めていきましょう。
貯蓄を成功させるために知っておきたいこと5つ
貯蓄を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、そのポイントを5つ紹介します。
1.収支と資産を把握する
貯蓄の計画を立てる前にやるべきことは、「お金がいくら入ってきて、いくら出ていっているのか」を知ることです。毎月の収入額はなんとなくわかっていても、何にいくら支出しているかまで把握している人は少ないのではないでしょうか。
収入と支出を把握することで家計を見直すことができます。まずは現在の家計の収支をリストアップすることからはじめてみましょう。
また、現時点の資産状況を把握することも重要です。収支をリストアップしたあとは、現時点での資産を「使うお金」と「貯蓄するお金」にあらかじめ分けておくことで、効率よく貯蓄ができるようになります。
2.目標金額を設定する
収支のリストアップや資産の把握ができたら、次に目標を設定しましょう。「将来が不安だから貯金したい」などの漠然とした目標では、なかなか貯蓄はできません。「いつまでに、いくら貯金する」というように、具体的な目標を立てればより意識が高まります。
たとえば、「マイホームのために5年で300万円貯める」や「来年の旅行のために50万円貯める」など、明確な目標を定めることで、その目標から逆算して貯蓄の計画を立てることができます。
3.先取り貯金を始める
貯蓄をスタートするには、先取り貯金を行うことをおすすめします。
先取り貯金とは、収入から先に貯蓄分を差し引き、残ったお金を使って生活をする貯蓄の方法です。
収入から支出を差し引いて残ったお金を貯蓄に回そうとすると、どうしても使い切ってしまいうまく貯蓄ができません。そこで、必要な分だけ「先取り貯金」をしておけば、残ったお金を支出に回し、無理な節約をしなくても貯蓄をすることができます。
ただし、貯蓄を優先するあまりに収入の多くを先取り貯金に回してしまい、生活が苦しくなってしまっては元も子もありません。
先ほど設定した貯蓄の目標を明確化し、毎月どれだけ貯蓄する必要があるのか、無理なく続けられる計画かどうかを計算して、先取り貯金をうまく活用していきましょう。
4.支出の見直しをする
お金を貯めるためには、「収入>支出」の状態にする必要があります。収入をいますぐ増やすのは難しいですが、支出を見直すことで意外と無駄な出費が見つかるものです。
特に大きな効果を期待できるのが、固定費(毎月支払う一定のお金)の見直しです。
ここでは、固定費の見直しポイントについていくつか紹介します。
- 住居費
持ち家の場合は住宅ローンの借り換えの検討、賃貸の場合は更新時の家賃交渉や収入にあった住居への転居なども1つの選択肢となります。転居の場合は、引っ越し費用がかかる点に注意が必要です。
- 水道光熱費
ガス代や電気代の料金プランの見直し、料金が安い業者への乗り換えなどを検討してみましょう。また、家電の買い替え時期であればエコ家電に買い換えることで節約できる可能性があります。
- 通信費
現在の使用状況をチェックし、スマートフォンの料金プランの見直しや、格安SIMなども比較検討してみるとよいでしょう。
- 保険料
複数の保険に加入している場合は、保障が被っていないか、不要な保険に入っていないかなどをチェックしてみましょう。生命保険では、加入した当時の状況に応じて保障内容を決めているケースが多く、子どもが成長した後も不要な保障を継続している可能性があります。
家族や生活の変化に合わせて保険の内容は定期的に見直すことが大切です。
5.NISAやiDeCoを活用する
設定した目標金額や時期によっては、NISAやiDeCoなどの制度を利用した資産運用も選択肢の1つとなります。ただし、投資商品は預金とは異なり元本保証がありません。投資は資産が減ってしまうリスクがあることを理解して、余剰資金で運用を行うことが大切です。
NISAやiDeCoを利用する際は、基本的には長期投資であることを理解し、自分のリスク許容度やお金が必要となる時期に合わせて、運用する金額を決めるようにしましょう。
- NISA(少額投資非課税制度)
通常、投資から得られる運用益には20.315%(復興所得税を含む)の税金がかかりますが、NISA口座で投資した金融商品から得られる利益は非課税になります。
NISAはつみたて投資枠と成長投資枠に分かれており、つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万、非課税保有限度額は1,800万円まで投資することができます。貯金の代わりに毎月決まった額を投資をしたい方は、つみたて投資枠の活用が向いているでしょう。
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、自分が拠出した掛け金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。毎月決まった金額を積み立てていく形なので、先取り貯金として活用することもできます。
毎月の掛け金が全額所得控除の対象となったり、運用益が非課税になるなど税制面での優遇がありますが、原則60歳になるまで引き出すことができない点に注意が必要です。
まとめ
6月が貯蓄スタートに向いている理由と貯蓄力アップのために知っておきたいことについて紹介しました。この機会に家計を見直し、貯蓄の計画を立ててみてはいかがでしょうか。貯蓄の方法はひとつではありません。自分に合った方法を組み合わせて、無理なく貯蓄をしていきましょう。
執筆者
辻田 陽子(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
税理士事務所、金融機関での経験を経て、「好きなときに好きなことをする」ため房総半島へ移住。
移住相談を受けるうちに、それぞれのライフイベントでのお金の不安や悩みがあることを知り、人々がより豊かで自由な人生を送る手助けがしたいと思いFP資格を取得、FPとして活動を始める。
現在は地方で移住や空き家問題に取り組みながら、FPの目線からやりたいことをやる人々を応援中。