50代になると、子供の独立や、自身のリタイア後を見越して住み替えを検討される方もいらっしゃるでしょう。50代はまだまだ働いている方も多く、住宅ローン契約の最後のチャンスだと考える方もいらっしゃるようです。
今回は、そんな50代で住み替えを考えていらっしゃる方のお話です。
50代の住宅ローンはリスク?
私は賢志(タダシ:52歳)、妻の愛子(アイコ:50歳)と2人暮らしです。転勤が多かったこともあり、賃貸に住んでいます。最近は転勤がなくなり、家を買うのもいいかなと感じています。今なら働いているうちに住宅ローンもある程度返せそうですしね。
今日は、今後の住まいについて妻と相談です。
そろそろ家を買わないか?
子供も独立したし、引っ越すならちょっと狭めの所を探そうよ。
人生100年なんて言われているし、退職後も家賃を払い続ける事を考えると、持ち家の方がいいような気がするんだ。
誰かに相談したいね。
住宅購入のことなら、FPの僕にお任せだよ!
2人の会話が気になって、声をかけちゃった。
家の購入の事で悩んでいるんでしょ?
賃貸で過ごすのと、家を買うのはどちらがいいのかなって話していたの。
それなら、住宅購入のメリットや注意点を確認してみようよ。
2人にとってどちらがメリットが大きいのか考えてみよう!
50代で家を買うメリット
2人みたいに50代で家を買うメリットは、主に次の3つだよ。
・子育てや、親の介護が予測ができ、資金面や住居の条件を絞りやすい
・終の棲家など、リタイア後を想定した住まいを探すタイミングに適している
・リタイア後に比べて住宅ローンの審査に通りやすい可能性がある
まずは、資金面や住居の条件を絞りやすいことだよ。
例えば、子供の人数やどんな教育を受けさせるかによって教育費が変わるよね?住みたい家も違うしね。
だから、今後の子育ての予測ができると、教育費の想定ができるでしょ?
だから、どのくらい家にお金をかけられて、どんな家に住みたいか考えやすくなるって言われているんだ。
うちは子供が独立したから、教育費はかからないし、家は夫婦で過ごせれば十分だもの。
もし、2人の両親と同居して介護をするなら、介護費用の想定をしないとね。
それに、家もバリアフリーの方がいいだろうし。
介護に必要な設備も考えたりとかね。
じゃあ、本当に2人で過ごす家があればよさそうだね。
それなら、終の棲家を見据えた住まいを探すタイミングでもあるよ。
でも、例えば今家を買って、また数十年後に終の棲家を探すのって、資金面でも体力的にも大変だよね?
だから、将来的にどうしたいかを考えながら次の住まいを決める方がいいよ。
施設に入りたいなら、入居費用の準備が必要だし、自宅で過ごしたいならバリアフリー工事も視野に入れておく、とかね。
ちなみに、今家を買って、施設に入るときにその家を売るっていうのは?
これならお金を準備しておかなくてもいいんじゃないか?
建物の価値は建ててから経過年数でどんどん下がるのが基本だから……。
でも、人気のエリアならあまり値段が下がらないかもね。
最後のメリットはリタイア前に住宅ローンを申し込むと審査が通る可能性があること。
他の条件もあるから一概には言えないけど、定期収入があるときの方がローンの審査が通りやすいといわれているよ。
50代で家を買う注意点
じゃあ、次に50代で家を買うときの注意点だよ。
一番の注意点は、住宅ローンを借りると思うんだけど、毎月のローン返済が家計の負担になるかもしれないってこと。
家賃と同じくらいだったら大丈夫じゃない?
家計の負担って言うほどでもないと思うよ。
例えば20年ローンを組んだとして、完済まで今の収入確保できる?
収入が減っちゃうと返済額が変わらなくても負担が大きくなるよね?
住宅ローンは返済が滞ってしまうと、一括返済を求められたり、家を差し押さえられたりすることもあるんだ。
困る!
それと、もう1つ。
今の生活レベルのままだと、家計自体が収入に見合わなくなるかも。
そうすると、収入は多分減るよね?
その時に今と同じ生活をしていると、出費は変わらないから、下手すると家計の収支がマイナスになっちゃうことも。
だから、家を買う・買わないはともかく、リタイア後に向けて家計の見直しは必要だよ。
トラブル回避のコツ
だからリタイア後に向けて徐々に家計をスリム化していくとか、シミュレーションなどで生活資金が足りるか確認しておくとかね。
もし、住宅ローンを借りたとしても、収入があるうちから家計をスリム化しておけば、繰り上げ返済ができるかもね。
返済期間が短くなったり、毎月の返済額を下げたりできるから、住宅ローン返済の負荷が下がるの。
リタイア後の生活をイメージしよう
つまり、自分たちの終の棲家のことも考えつつ、できるだけ家計にかかる負担を下げることが大切なんだね。
まずは、リタイア後にどんな生活を送りたいか、どんな家に住みたいか、そのあたりから話し合おうね。
執筆者
黒川 一美(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大学院修了後、IT業界でセールスエンジニア・営業企画として働き、出産を機に退職。
家計を守る立場になり、お金との向き合い方を見つけるためFP資格を取得。
現在は独立系FP法人であるFPサテライト株式会社所属FPとして活動中。
3人の子育て中の母でもある。