NISA制度は政府が国民に対して投資を用いた資産形成を促す事を目的とし、少額の投資で始めることができ、更に税制的に優遇される形で2014年からスタート、加えて2018年からは、つみたてNISAもスタートしました。長期的な資産形成を目的として、つみたてNISAを行っている人も多くいるはずです。このNISA制度ですが、2024年1月から新しい制度へと生まれ変わります。今回の記事では新NISAへの移行は必要なのか、つみたてNISAからの移行切り替え方法を分かりやすく解説」 します。
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現行NISAは2023年12月まで、2024年1月より新制度のNISAへと変更される事が2022年に発表されました。
2024年1月からの新制度NISAへの移行を前に、現行のつみたてNISAとの違いを確認していきましょう。
◆つみたてNISAと新NISAの違い
この表の様に多くの項目で制度が変更になりますが、大きなポイントは非課税期間が無限になる事と、年間投資上限額・非課税保有限度額が拡大する点です。
また、現行制度では一般NISAと「つみたてNISA」はどちらか一つしか運用できませんでしたが、新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠を併用できるため、運用幅が広がる特徴もあります。
新NISA開始に伴い、これまでのつみたてNISAからの移行や切り替えがどうなるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
結論、「つみたてNISA」から新NISAへの移行に関しては、既にNISA口座を開設しているのであれば、自動的に新NISAの口座が開設されるので新たに移行したり切り替えをする必要はありません。
一方で、現在利用している金融機関から他の金融機関で口座を開設したい場合は、自分で手続きをする必要があるので注意しましょう。
現行NISAでも新NISAでも、NISA口座は一つしか持てません。金融機関の変更を希望する際は、「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が必要になりますので、確実に手続きを行うようにしてください。
これまでよりも投資条件が良くなる新NISAですが、現行NISAで出来ていたことが出来なくなることや、把握しておいた方が良い内容があります。
この章では現行のNISAを行っており、新NISAでも投資を続けようと考える人が知っておいた方がよい内容を紹介しますので参考にしてください。
既に現行の一般NISAで金融商品を運用している人の中には、新制度へのロールオーバーが出来るのか気になっている人も多いでしょう。
残念ながら現行の一般NISAから新NISAへのロールオーバーはできません。
ロールオーバーとは、現行の一般NISAで用いられている手法で、非課税期間が終了した時に保有している金融商品を次の年の非課税枠に移管する事で同じ商品の非課税期間を伸ばす方法です。
2024年1月からの新NISAではロールオーバーはできなくなりますが、2023年中までに一般NISAで購入した商品は2027年まで5年間は非課税にて運用できます。その後は課税口座での運用になりますので覚えておきましょう。
ただ、新NISAでは非課税期間が恒久化されるため、ややこしいと言われていたロールオーバーという仕組みはなくなり、自由に持ち続けることできるのは大きなメリットといえるでしょう。
さらに売却した場合、これまでのNISAの場合はそこで非課税枠は終了でしたが、新NISAでは枠が復活・再利用できます。投資可能枠の計算は投資した元本ベースになります。
次に現在保有している資産の扱いについて確認していきましょう。
現行NISA口座で保有している資産は、基本的に次の2つの扱いとなります。
①非課税期間終了まで運用継続
新NISA口座を開設しても現行NISA口座を保有し続ける事は可能ですし、新NISAの非課税保有限度額への影響はありません。そのため、一般NISAであれば2027年まで、「つみたてNISA」であれば2042年まで非課税で運用する選択肢を選べます。新NISAへのロールオーバーはできませんので非課税期間終了後は課税口座へ自動的に移されることを注意してください。
②売却する
新NISAへの投資資金を得たい人や、単純に現金化したい人は売却することも可能です。非課税期間内であれば運用益に対して税金(20.315%)は掛かりません。一方で損が出ている口座と利益が出ている口座で利益を相殺し、税金を抑える損益通算という制度は使えませんので、保有資産の含み損益とタイミングを確認して売却するようにしましょう。
上述した通り口座変更が必要ない場合は、現行NISA口座を保有している金融機関にて自動的に新NISA口座が開設されます。
その際、多くの金融機関では現在の積立設定も自動的に引き継がれます。
つみたてNISAで設定している場合はつみたて投資枠へ、一般NISAで設定している場合は、成長投資枠へ全銘柄が引き継がれることとなるので、新たに設定する必要はありません。ただし、銘柄によってはNISA口座での積立ができない場合があります。金融機関のサイトでしっかりチェックしましょう
一方で、新NISAの年間投資上限額は拡張されるので投資金額を増やしたい人はご利用の金融機関にて設定するようにしてください。
今回は現行の一般NISAから新NISAへの移行・切り替え、その他の注意点について解説してきました。現行NISAの扱いと新NISAの内容を把握する事で効率よくNISAを使った投資ができますのでぜひ今回の記事を参考にしてください。また、自分自身で現行NISAと新NISAを上手に活用する自信がない人は資産形成と投資のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
所属:マイホームFP株式会社
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。