総務省の調査によりますと、ふるさと納税の利用者は年々増加し、2022年度の利用者は約741万人にのぼります。ふるさと納税は、希望する自治体に寄付をすると、税金が減額される制度です。中には返礼品を目的として利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ただ、ふるさと納税で寄付した分を減額するには、期日までに申請しなくてはなりません。これからふるさと納税を始める主人公と共に、ふるさと納税の注意点を再確認し、年末に慌てないコツも考えてみましょう。
このページの目次
ふるさと納税の注意点
1.減税額に上限がある
僕は青山、正社員で働いています。今日は同窓会、久しぶりに会う友人との会話を楽しんでいます。節約の話をしていたら、ふるさと納税の話題に。今年はふるさと納税をしてみるつもりでいる僕は、情報収集させてもらうことにしました。どうやら友人の村田はもう返礼品を受け取っているようです。
どんな返礼品にしたの?
基本的に食べ物かな。
大好きなフルーツが届くのが楽しみなんだ。
僕もふるさと納税を始めようと思っているんだ。
ふるさと納税の上限額って、年収から計算するんでしょ?
上限を超えると税金が減らないって聞くし。
だから、12月の源泉徴収票を待とうと思うんだ。年収がわかってからゆっくり探すつもり。
でも、年末まで待つの?
年末といわれれば、年末かな。
ふるさと納税の注意点
2.ワンストップ特例の申請期限
結構ギリギリだよね?
12月31日までに申し込むんじゃないの?
具体的に言うと、ふるさと納税サイトで返礼品を選んで、入金が完了する期限。
ふるさと納税って1月1日から12月31日までの寄付額を集計するんだ。
返礼品の購入額じゃなくて?
ふるさと納税サイトは、寄付へのお礼の品が載っているんだよ。
「この金額を寄付してくれたら、この品をお礼としてプレゼント」っていう感じ。
変な名前だと思っていたんだ。
それで、申請期限って?
ワンストップ特例を使うなら、寄付した自治体に来年の1月10日までに書類を提出しなければいけないんだよ。
ただ、自治体によっては、もっと早く締め切っている場合もあるから、寄付するときに確認したほうがいいよ。
確定申告だったら、来年の3月15日だから、もう少し余裕があるけど。
じゃぁ、「確定申告不要」っていうのは、1月10日までに手続きを終わらせなきゃいけないっていうことだよね?
間に合わなかったらどうなるの?
「還付申告」っていう手続きをすれば減額分が返ってくるけど、確定申告とほとんど同じ手続きが必要なんだ。
ただ、申告できる期間は5年間に伸びるよ。
確定申告をしなくていいのは来年の1月10日までか……。
困ったなぁ、いくらまでふるさと納税に使えるんだろう?
慌てないコツ
1.ふるさと納税の上限額を予測する
源泉徴収票がなくても予想できるよ。
転職したり、昇格してたら、予測が難しいかもしれないけど。
例年通りなら昇給も手当もなんとなく想像できるんじゃないかな。
昨年とそんなに大きく変わらないね。
良いことを聞いた。村田もそうしているの?
ふるさと納税サイトに履歴が残るから、それを参考にしているよ。
その金額を参考に申し込んでいるから、年末に慌てる必要もないしね。
来年からは僕もその方法が使えるね。
でも、この金額って予測なんだよね?
上限を超えた分は税金から引かれないって聞くけど、できるだけふるさと納税を使いたいんだ。
オーバーしないようにするにはどうしたらいいかな?
慌てないコツ
2.何回かに分けて寄付をする
僕は、「絶対に限度額を超えない」という金額を秋までに寄付しておいて、年収の見込みがたった時期にまた寄付するようにしているんだ。
今年も、もう少し寄付できそうだから、最後にもう1回申し込むつもりだよ。
ふるさと納税って何回もできるの?
ただ、ワンストップ特例を利用する場合は、5自治体までだから、ここは注意ね。
それと、自治体によっては1年に寄付できる回数が決まっている場合があるから、これも注意。
期日に余裕をもって行うメリット
ゆっくり返礼品を選べそう。
返礼品って、個数限定の場合もあるんだ。
早めに返礼品の申し込みをすると、品切れを回避できることもあるし。
それに、野菜やフルーツなんかは季節ものだから、時期を逃すと申し込みが終わっちゃうんだ。
フルーツ大好きな村田には大事だね。
ふるさと納税って、制度が変わることがあるんだ。
制度が変わると、返礼品に使える条件とか、返礼品の金額などに影響がでる場合があるし。
最近では2023年の10月1日に変更になったよ。
返礼品の金額に制限がつくと、品物は同じでも量が減ったり、同シリーズの安価なものになったりする場合があるよね。
余裕のある行動でふるさと納税の活用を
帰ったら早速返礼品のチェックだ!
執筆者
黒川 一美(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大学院修了後、IT業界でセールスエンジニア・営業企画として働き、出産を機に退職。
家計を守る立場になり、お金との向き合い方を見つけるためFP資格を取得。
現在は独立系FP法人であるFPサテライト株式会社所属FPとして活動中。
3人の子育て中の母でもある。