皆さんは近年の値上がりラッシュの中で家計の見直しを行いましたか?
異常気象による供給不足、ロシアによるウクライナ侵攻、円安などが原因で原材料価格・エネルギー価格が高騰し、私たちの生活の食品、日用品、交通・輸送、光熱費などの価格が値上がりしています。
これを機に家計を見直そうと思っても、これまで意識的に節約をしてこなかった方や毎日家計簿を続けるのが難しかった方、何から手をつければ効率的に家計を見直せるのかわからない方は多いのではないでしょうか。
今回はそういった方でも生活に無理なく導入できて、すぐに使える家計見直し術をご案内します。
このページの目次
収入ではなく支出から見直そう
家計を見直すときには収入ではなく支出を見直してみましょう。理由については、以下で詳しく解説します。
支出改善は明日から始められる
なぜ収入ではなく支出を見直すべきかについての結論を申し上げると、収入よりも支出を変えるほうが早いからです。
収入を増やそうとすると、より高い年収の職場へ転職したり、副業を探す必要があります。もちろん簡単に見つかればよいですが、条件が合うものはなかなか見つからないことが多いです。転職活動に数カ月かかることもあるでしょう。それに対し、支出は今日から行動を変えるだけですぐに効果を出すことができます。
また、支出を抑える癖がついていなければ、最終的に家計は改善しづらいでしょう。たとえ高収入の職に転職できたり、副業を始めて月々の収入がアップしたとしても、それ以上にお金を使っては貯蓄はできません。そのため、支出を見直すことは、収入を変えるよりも家計の見直しに効果的であると言えます。
支出を変えるときのポイントは「無理なく過ごせる程度」
支出を減らすときの注意点としては、「無理なく行える程度」に留めておくということです。
もし生活に大きな支障がでるのであれば、我慢をせずに購入したり、我慢をしてもストレスが溜まりすぎない程度に抑えることが大切です。支出を減らそうとして購入したいものを我慢しすぎると、反動で衝動買いをしてしまうリスクがあります。一時的には節約ができても、長期的に継続できなければ、結果的に支出は減りづらいでしょう。
また、パートナーや子どもなど家族がいる場合、節約生活を家族と共有する必要があります。節約のために、家族の生活リズムやルールを大幅に変更すると、家族にストレスがかかることもあります。自分は大きく節約をしようとしても、家族に協力を仰ぐのが大変なこともありますので、日常生活から無理なくできる節約方法を考えましょう。
支出を減らす具体的な5つの方法
前述の通り、節約方法は生活に無理のない程度ですぐに導入できるという点が重要になります。この章では、すぐに行える具体的な支出改善方法を5つ紹介します。
1.外食を減らす
一つ目は、外食を減らすことです。
家族との外食の機会や、職場での外食ランチの回数を少しだけ減らし、自炊等の機会を増やせば1食あたり数百円~数千円の節約になります。お弁当を作る余裕がなければ、飲み物だけでも自宅から持っていく習慣をつけてみるとよいでしょう。
例えば、外でコーヒーを飲みたくなったとき、コーヒー1杯をカフェで飲むと約500円、コンビニや自販機で買うと約120円ですが、自宅からインスタントコーヒーを作って持っていけば約10円です。カフェよりも約50分の1の値段でコーヒーを飲むことができるということになります。節約には、このような細かな意識がとても大切になります。
ただし、節約のために食費を極端に安くすることだけを目的にせず、栄養バランスには気を付けましょう。例えば、安くて満腹度の高いカップ麺を食べすぎた結果、肌が荒れてそのために新しく美容品を買う必要がでたり、体調を崩して医療費がかかることもあります。健康面を大切にしながら、無理のない節約をすることで、無駄なお金をかけずにすみます。
2.安く手に入るお店で買う
二つ目は、欲しいものをなるべく安くで購入するよう心がけましょう。
安く購入するために、まずは100均や中古品店(リサイクルショップ)で似たような機能を持ったものがないかチェックしてください。また、ブランドによって価格帯は異なるため、いつもより価格帯が低めのブランドで、買い物が済ませられないか検討してみましょう。
ただし、明らかに壊れやすそうなものや、レビューで評価が低いもの、自分の納得度が低すぎると、またすぐに新しく買ってしまう可能性があります。
安さだけで選ばず、商品の情報収集をよく行い、自分の満足度と比較しながらよく検討して買い物をしましょう。
3.固定費を見直す
三つ目は、固定費を見直すことです。固定費は、長期的な生活費の支出に大きく関わるものが多いため、一度見直すだけで効果的な生活費の削減に繋がります。
固定費のなかでも住居費を減らそうとすると、引っ越しが必要になるためすぐに変えることは難しいでしょう。住居費以外で、見直しにおすすめの固定費は下記のものになります。
- サブスクリプションサービス
- 保険料
- 通信費(スマートフォン・インターネット)
- 水道光熱費
- 駐車場代
使っていなかったり、使う頻度の少ないサブスクは思い切って解約を検討してみましょう。また、保険に過度に入りすぎていないか、通信費や水道光熱費などは安いプランに変更できないか調べてみるとよいでしょう。
4.レジャーには公共施設を利用してみる
四つ目は、休日にパートナーや子どもと出かける場所に公共施設を取り入れてみることです。
公共施設といえば、図書館や科学館、博物館や大型の公園などが挙げられます。子どものために絵本を1冊購入すると500円〜1,500円かかりますが、公共の図書館を利用すれば何冊借りても基本的に無料です。また、いつもの公園ではなく、少し遠出をして大型の公園に出かければ、子どもも新鮮に感じるかもしれません。科学館や博物館などの入場料も、民間の運営施設のものより比較的安いため、節約しながら休日を楽しむことができます。
5.税金の優遇を活用する
五つ目は、税金が優遇される制度を活用することです。会社員であれば額面収入から引かれる所得税や住民税が減ることで、手取り額が増えることにつながります。
税制をうまく活用するための制度としては、iDeCoやふるさと納税があります。
それぞれ簡単に説明します。
- iDeCo
iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。将来の年金を自分でつくるための制度で、毎月一定額を投資・運用し、原則60歳まで引き出しが不可能です。iDeCoを活用すれば、その積立金額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減されます。また、運用益に対しての税金もかかりません。 - ふるさと納税
ふるさと納税は、自分の好きな地方自治体に寄付ができる制度です。その寄付金分の金額が住民税・所得税から控除され、かつお礼の品が寄付先の地方自治体から贈られてきます。
注意点は、住んでいる地方自治体に納税する予定だった住民税や所得税を、寄付先に納税するだけなので、住民税や所得税を納めなくてよいというわけではないということです。しかし、寄付の返礼品として、お肉、魚、お米、野菜、果物などの特産物や、伝統の工芸品などをもらえるのは嬉しいですよね。
まとめ
いかがでしたか。今回は、物価の値上がりラッシュの中で、節約が続かない方でも今からできる家計術をご案内しました。節約が目的化され、無理な節約が続くとストレスがたまり、かえって家計に負担がかかることもあります。生活に無理のない範囲で少しずつ色々な方法を試してみましょう。
執筆者
森島 静香(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
京都出身、大阪在住。
人材紹介会社勤務。
キャリアカウンセラーとして顧客の転職活動を支援中。
中立の立場で顧客の相談に乗る中で、お金に関するより専門的な知識を身につけたいと考え、FP資格を取得。
プライベートでも2児の母として、育児を経験しており、顧客目線でわかりやすい情報を届けるFPを心掛けている。