現在、日本では人生100年時代と言われるほど長寿化が進んでいます。厚生労働省の「簡易生命表(令和3年)」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳です。
長寿化が進んだことは喜ばしいことですが、より長くなった老後の生活に必要な「資産」と「健康」については気になるところです。
そこで、今回の記事では、老後の生活を維持できるだけの「資産寿命」と、健康に過ごせる「健康寿命」についてご紹介します。資産寿命と健康寿命とは何か、2つの寿命を伸ばすためにはどのような取り組みを行えば良いかを解説します。
老後の生活に向けて「資産」「健康」について考えたいという方は、ぜひご覧ください。
「資産寿命」とは「老後の生活を営んでいくにあたって、預金や退職金など現役時代に築いてきた資産が尽きるまでの期間」のことです。資産寿命が長ければお金の心配が少なくなります。
一方、「健康寿命」とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。健康寿命が長ければ健康の心配が少なくなります。
豊かな老後生活を過ごすためには、資産寿命も健康寿命もどちらも大切です。現役時代の頃から両方を意識して行動することが欠かせません。
では資産寿命、健康寿命を伸ばすためにはどうすれば良いのでしょうか?それぞれについて解説していきます。
先取り貯蓄の具体的な方法はいくつかあります。
例えば、銀行口座を複数保有しておき、そのうちの一つを貯蓄口座にして、給料や収入が入った後にまず一定の金額を貯蓄口座に振り込むことで、貯蓄を先に確保するといった方法です。
その他にも積立定期預金を利用して、給料日付近に自動的に定期預金にお金を振り替えて積立ていく方法もあります。
どの方法の場合でも、生活口座と貯蓄口座を分けて管理することが大切です。
キャッシュレス決済には資産寿命を伸ばす観点から3つのメリットがあります。
(1)ポイント還元
キャッシュレス決済の多くのサービス業者ではポイント還元制度を導入しています。還元率は決済業者により異なりますが、キャンペーンなどで還元率が大幅に上がることもあります。たまったポイントは、電子マネーとして利用できたり、決済事業者が提供しているギフト品と交換することができます。
(2)家計簿代わりになる
通常、家計簿を作成する場合には、別途レシートを保存したり、エクセルなどで表を作成したりといった手間がかかります。しかし、多くのキャッシュレス決済は支払い情報がデータ化され履歴として残っているため、家計簿を作成しなくても支払い管理を簡単に行えます。無駄な出費を減らしたり、使いすぎ防止に役立ちます。
(3)ATM手数料の節約
キャッシュレス決済を行うと、現金を持ち歩く必要がありません。そのためATMなどでお金を下ろすことも不要であるため、ATM手数料の節約にも繋がります。一回あたりのATM手数料は少額でも、回数を重ねるほど大きな金額になるので、効果は大きいです。
また、老後の生活で資産を取り崩す際にも資産運用は有効です。例えば、保有資産3,000万円の人が65歳から毎月15万円ずつ取り崩す場合、何も運用しない場合には16年後の81歳8ヶ月で取り崩しが終了してしまいますが、年率3%で運用できた場合には、87歳11ヶ月まで資産寿命は伸びます。
ただし、金融商品には市場リスクや信用リスク、流動性リスクなどのリスクが存在します。投資を行う際には、ご自身のリスク許容度を考慮した上で、無理のない範囲で運用を行うようにしましょう。
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全てを意識して、健康的な生活を送ることが理想的ですが、いきなり全部を意識して生活していくことは難しいことと思います。毎日の生活の中で少しずつでも習慣化していくことが大切です。
健康寿命についてはイメージがわくという人も多いかもしれませんが、資産寿命については金融用語も多く登場することからなかなかイメージがわきにくいという人も少なくはないと思います。資産寿命の伸ばし方について自信がないという方は、お金のプロであるFPに相談してみるのもおすすめです。
健康寿命も資産寿命も普段からの積み重ねが大切です。今日から少しずつでも始めていきましょう。
宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。
新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。現在はメディア制作事務所マネーエスコート代表。
金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。
20代〜40代の方向けの情報サイト「マナブロ」も運営中。家計、生活、家電、アプリなど6ジャンルを掲載。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。