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NISAとiDeCo、優先するならどちらが先?
違いや特長を詳しく解説

個人投資家に人気のあるNISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)ですが、どちらを優先的に運用するべきか迷っている方は少なくないのではないでしょうか?

今回の記事では、これら2つの制度について、それぞれの違いや特長を解説するとともに、どちらを優先すべきかを考えてみたいと思います。

NISA、iDeCoでの運用に関心がある方、どちらの制度を優先すべきか迷っている方はぜひご覧ください。

NISAとiDeCoの違いや特徴について

はじめにNISA、iDeCoの商品性について解説していきます。それぞれメリット・デメリットがありますので、しっかりチェックしていきましょう。

NISAとは

NISAとは、日本の個人投資家向けの制度のひとつで、少額投資非課税制度の略称です。NISAには、つみたてNISAと一般NISAの2種類があり、どちらかを選択して運用します。


現行のNISA制度


*金融庁ホームページをもとに筆者作成

NISAは、株式や投資信託、ETF(上場投資信託)など幅広い投資対象が選べるため、自由度が高く、個人の資産形成に役立つことが期待されています。20歳以上の日本国民であれば、誰でも利用ができます。また少額からの投資が可能で、つみたてNISAは月額100円から、一般NISAは数百円程度から運用が可能です。

投資におけるリスクはありますが、長期的に見れば、資産形成の手段として有効であるとされています。NISAは、投資初心者から上級者まで、幅広い層に向けて作られている制度であり、将来の資産形成を考えるうえで、重要な選択肢のひとつと言えます。

また、NISAは毎年の非課税枠があるため、毎年分散投資を行うことで、リスク分散を図りながら効率良く資産形成を行うとも可能です。
ただし、投資にはリスクがあるため、投資する前には自己判断で十分にリスクや手数料などを確認し、投資に対する理解を深めることが大切です。
なお、2024年からは年間投資枠が増額し、非課税保有期間が無期限となる「新NISA制度」が始まります。


新NISA制度


*金融庁ホームページをもとに筆者作成

iDeCoとは

iDeCoとは、個人型確定拠出年金制度のことで、日本の年金制度改革の一環として、2017年にスタートした制度です。iDeCoは、個人が自己責任で年金資産を運用することで、将来の年金不足対策を目的としています。

iDeCoの対象商品は保険・定期預金・投資信託で、最低拠出金額は月額5,000円です。拠出限度額は、月額1.2万円〜6.8万円と職業に応じて異なります。

また、税制面で以下の3つのメリットがある点が特長です。


iDeCoは、年金制度としては比較的新しい制度であるため、まだまだ認知度が低い人も多いですが、将来の年金受給額を増やすためには重要な制度であるといえます。

ただし、投資信託は、価格変動リスクがありますので、投資には十分な知識と判断力が必要です。また、iDeCoは年金制度であるため、原則60歳以上にならないと引き出しができませんので要注意です。

NISAとiDeCoはどんなポイントで有利?

ここまで解説してきた2つの制度を5つのポイントから比較していきます。

① 年間投資可能額:NISAが有利

現在の一般NISAは年間120万円まで入金可能です。さらに新NISA制度では年間360万円まで入金可能。一方、iDeCoは働き方によって変わりますが、最大でも年81.6万円。そのため年間投資可能額はNISAが有利です。

② 積立上限額:iDeCoが有利

NISAは、現行制度のつみたてNISAの場合で最大800万円、新NISA制度でも総額1,800万円が上限金額です。一方、iDeCoには上限の制限はなし。そのため積立上限金額はiDeCoが有利です。

③ 中途解約制限:NISAが有利

NISAは証券市場が開いていれば、原則として中途解約はいつでも可能。一方、iDeCoについては、売買は自由ですが、受け取りは原則60歳以降。そのため中途解約制限については、NISAが有利であると言えます。

④ 利用対象者:NISAが有利

NISAの利用対象者は、18歳以上の成人で、日本に居住していれば年齢の上限はありません。一方、iDeCoは20歳以上65歳までです。そのため利用対象者についてはNISAが有利です。

⑤ 商品選択の自由度:NISAが有利

NISAの取引対象となる金融商品は株式や投資信託、ETF(上場投資信託)など幅広いです。一方、iDeCoの取引対象となる金融商品は保険・定期預金・投資信託のみです。そのため商品選択の自由度はNISAが有利です。


以上のことから、全体的に見るとNISAの方がiDeCoよりも優れているポイントが多いと言えます。

NISAを優先すべき人、
iDeCoを優先すべき人はどんな人?

ここまでご紹介してきたNISA、iDeCoの特長を踏まえ、NISAを優先すべき人とiDeCoを優先すべき人はそれぞれどんな人なのでしょうか?4つのポイントから解説していきます。

① 年齢別

結婚費用や教育費用など、急な支出が発生する可能性がある10代から30代は、中途解約がいつでも可能であるNISAがおすすめです。一方、収入も安定してきている一方、セカンドライフが近づく40代以降は、税制メリットを活かすことができるiDeCoを優先することをおすすめします。

② 投資目的別

金融資産を増やすことを目的としている人は、豊富な金融商品で運用できるNISAがおすすめです。一方、老後資金を増やすことを目的としている人は、時間をかけて運用していくiDeCoがおすすめです。

③ 資産運用に関する知識や経験別

NISAは選択できる商品が豊富な分、資産運用に関する知識や経験が必要です。一方、iDeCoについては選択できる商品は定期預金・保険・投資信託のみで種類も限られていることから、投資初心者の方にはiDeCoがおすすめです。

④ 性格別

iDeCoは原則途中解約ができないというデメリットがありますが、その分、税制メリットはNISAよりも大きいです。そのため、お金の管理がしっかりしている人にはiDeCoがおすすめです。逆にお金の管理に自信がない人は、途中解約可能であるNISAがおすすめです。

まとめ

本記事では、NISAとiDeCoの違いや特長や、それぞれの制度を優先すべき人について解説しました。

NISA、iDeCoともに資産形成には有効な手段です。どの金融機関で運用するのが良いのか、どの商品を選べば良いかなど迷ったら、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談するのもおすすめです。

両制度の特長を理解した上で、ご自身に合った制度から優先して活用していきましょう。

執筆者

菊地 学(MILIZE提携マネーエスコート代表)

宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。

新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。現在はメディア制作事務所マネーエスコート代表。

金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。

20代〜40代の方向けの情報サイト「マナブロ」も運営中。家計、生活、家電、アプリなど6ジャンルを掲載。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。