最近貯金額があまり増えていない方、毎月の保険料が意外と負担になっていませんか?その保険はいつ加入したものでしょう?
加入した保険の月日が経つと、不要な保障内容になっていったり、他のサービスの附帯保険で保障の対象になっていたりなど、定期的な見直しを行わないと万一の時に備える保険が逆に毎月の家計を無駄に圧迫しているという事態になりかねません。
また、定期的な家計管理で費用項目を見直し、不要な出費を減らしていく習慣を身につけていると何が原因となっているか発見しやすいですが、家計管理に不安を抱えている方は、保険料自体が本当に負担になっているかを判断することが難しいかもしれません。
保険の見直し、家計管理の改善、どちらも取り組みたいと前から考えているが、まだ行動に移せていないという方は、何から初めたら良いのか理解できていないからではないでしょうか。
本記事では、保険の見直しを行うのと同時に、家計管理の改善に向き合う、一石二鳥のプロセスをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
保険を見直すときの3つのポイント
生命保険、自動車保険、医療保険、火災保険など、保険にはさまざまな種類があり、一見すると複雑ですが、保険に加入あるいは見直す際に最低限注意すべき共通のポイントがあります。
ご自身の保険証券や保障内容に関する約款にしっかり目を通したことはあるでしょうか?
誰が、どのタイミングで、どの程度の保険金を受け取ることができるのか、この際、加入されている保険を詳細に確認し、把握しておきましょう。
こちらでは、保険の加入について見直しを行う際の3つのポイントをご紹介します。自分事としてしっかり実践していきましょう。
(1)保険金を受け取りたい最低限の保障内容となっているか
第一の条件として、不要な保険に加入する意味は全くありません。本来なら払う必要のない余分な費用を払っていないでしょうか?
なんとなく不安だから、入っていないよりは入っていた方が安心だから、という曖昧な理由で加入されていたとしたら、見直す価値は十分にあります。
また、そのような心理状態で加入すると、契約をした時に十分に他社比較をしないまま、保険契約の担当者の情報のみになってしまうため、選択が限られてしまう可能性もあります。
保険を契約してから時間が経過する中でご家庭の状況が変わり、不要な保障内容が出てきていたり、逆に必要な保険に加入できていなかったり、刻一刻と状況は変わるものです。
まずは、「何に保険をかけておきたいか」を明確にします。健康状態、保有している資産、お住まいの環境を総合的に判断し、具体的なリスクを考えてみます。
そもそも保険は加入者同士でリスクを共有し合い、自身で負担できない万一の時の費用を各人が支払う保険料の一部で負担する仕組みですから、たとえば、預貯金でリスクに対応できる場合には保険に加入する必要はないと考えられます。
対象者、対象期間、条件等も考慮した上で、加入している保険の保障内容、そして得られる保険金の金額がご自身の状況と合っていれば継続加入で良いでしょう。
しかし、見直しの余地があると判断された場合には、その保険自体を途中解約する、あるいは他社の各種保険に乗り換えるという選択肢を検討していくことになります。
(2)(生命保険の場合)保険を契約する前に公的な社会保障の内容と十分な比較を行ったか
もしあなたが生命保険に加入されているとしたら、公的な社会保障制度を理解することで、見直しの余地があるかもしれません。なぜなら、日本国民が利用できる公的な社会保障制度によって負担される対象範囲は広いからです。
社会保障制度には、「社会保険制度」、「社会福祉制度」、「公的扶助制度」、「保険医療・公衆衛生」の4つがあり、主に「社会保険制度」と比較すると良いでしょう。
「社会保険制度」は、年金保険、医療保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つで構成されます。ご自身が加入されている保険の種類に該当するものはあるでしょうか。
いずれかに該当する場合は、公的な保険制度で負担することができない部分をカバーできる保障内容となっているか確認し、条件、保険金額、保険の対象者等を比較検討します。
そして、5つの保険のなかで特に注意すべき保険は、医療保険です。疾患の種類によっては、公的医療保険でも保障が適用されない費用があるからです。
特定の疾患に治療が必要になった際に金銭的な不安がある方は、高額療養費制度の利用も念頭におきつつ、入院手当や手術費用に充てる保険について、特約を含めて十分に検討することをお勧めします。
(3)家計を圧迫しない保険料の支払いとなっているか
保障内容が必要なものであり、公的な社会保険制度を利用しても保障されない負担部分に適用される保険となっていれば、最後にみるべきポイントは保険料です。
前提として、保険の位置付けは万一の備えであり、毎月の家計を圧迫するほどの保険料の支払いを行うべきではありません。
生涯あるいは一定期間に発生するであろう有事の際に必要な保障金額を見積もり、その金額を負担してもらうために保険に加入します。
上述の通り、とりあえず心配だから加入した、担当者の話を聞いていると不安になってしまい流れで加入した、という心理状態では、十分なファイナンシャルプランニングを行った上での客観的な判断になっているとは言い難いでしょう。
また、保険に加入する際にしっかり検討したつもりでも、いつの間にか家計の負担になっていた、というケースもあるかもしれません。
保険料の単純比較という意味では、保障内容の充実度を少し下げて保険料の安い保険に入ることが得策でしょうし、一方で、保険料が少し高くなっても保障内容の充実度が高い保険に加入したいという方もいると考えられます。
つまり、「保険料をいくらまでなら支払う余裕があるか」をご自身の家計の状況から判断し、事前にファイナンシャルプランニングを行っておく必要があるのです。
家計管理を改善する方法
ファイナンシャルプランニングを行う必要があると理解していても、実際にファイナンシャルプラニングを自分で初めから行うのは難しいですよね。
そこで、まずは簡単な診断ツールを活用して現在の家計における弱点を見つけ、徐々に家計管理の能力を高めていくと良いかもしれません。
毎月支払うことのできる保険料の金額を、家計管理のなかで明らかにしていきましょう。
診断ツールを利用して家計管理の改善点を知る
家計管理の基礎もよく分かっていないという方には、簡単に家計管理の状況を評価できるツールの利用をお勧めします。
家計診断を行うアプリやウェブサイト、ツールには家計管理において重要と考えられる要素がすでに判断基準として盛り込まれているため、ご自身の収支の状況を入力したり、簡単な質問項目に答えたりするだけで、改善ポイントを見つけてくれるものが多いです。
家計診断ツールを上手く活用するなかで、ご自身が特に集中的に改善したいポイントや、逆に変えたくないライフスタイルを特定することができます。
改善していくポイントについては、明日にでも取り組みを開始して直近で費用を抑えることができるものと、中長期で徐々に改善していきたいものに分類して、対策を実行に移すアクションプランをしっかり立てていきます。
そして、家計管理を改善した結果、毎月の余った資金からどの程度なら保険料を支払うことができるか、おおよそでも見当がつくようになってきます。
家計管理は慣れてくるとご自身でも上手に行えるようになるので、すでに重要な判断基準が盛り込まれているツールを活用しながら、必要に応じてプロから家計管理の方法を習得していきましょう。
収支の把握を徹底し、毎月の予算を超えないようにする
プランニングを行っても実行しなければ、ただの計画になってしまいますよね。
そこで重要となるのが、日常の収支状況を徹底的に把握し、計画通りに進んでいるか定点観測を行うことです。
予算と比較してどの項目に負担が寄ってしまっているか、無駄な支出が増えていないかなど、家計の状況を評価するための診断ツールやご自身の記録をもとにして判断します。
一般的に変動しやすい費用は、食費・交際費・消耗品費といった日常生活費ですので、家計管理の見直しにおいては、保険料や家賃の支払いといった固定費は除外したうえで毎月の収支を見直します。
必要最低限の生活費に抑えても、保険料に支払う費用が負担になっていると感じるのであれば、その金額はご自身が支払うことのできる保険料の上限を超えてしまっています。
ご自身の生活上の価値観もあるため、最低限の支出にしておきたい項目と、少しお金を出してもいい項目とでメリハリをつけながら、保険料の許容範囲を見極めていきましょう。
より良い家計管理は保険の見直しから
保険の見直しから始める家計管理の改善プロセスを理解することはできたでしょうか。
多くの方が加入する保険の見直しは家計管理の改善のきっかけとなり、取り組みたくても何から初めて良いか分からなかった方にとっての糸口になるとも考えられます。
今回は保険の見直しをきっかけに家計管理を見直す方法をご紹介しましたが、本来は保険の見直しのみならず、携帯・パソコンの通信費、住宅ローン、資産運用など、家計管理のうえで見直したい項目はたくさんあります。
保険の見直しを家計管理の起点にしつつも、今後は資産運用などにもこれらの知識を活かし、ファイナンシャルプラニングに強い人になりましょう。
執筆者
三上 諒子(MILIZE提携FPサテライト株式会社所属FP)
大阪市立大学商学部学士課程修了。
学生時代にESG投資の有効性に関する研究を行う。
主にESG・サステナビリティ領域の業務に従事、現在は企業のサステナビリティ・ガバナンス構築に向け活動中。
地球のサステナビリティには最終的に消費者の力が必要と考え、消費者行動に影響を与えるファイナンシャルプランナーを目指す。