資産形成においては既存の制度を上手く活用することが大切です。色々な制度がありますが、中でも少額投資非課税制度「NISA」は使い勝手が良く、運用初心者にも人気がある制度です。
今回の記事では2022年12月16日に発表された「令和5年度の税制改正大綱」をもとに、2024年1月から始まる新NISAのポイントやメリットなどについて、現行のNISA制度と比較しながら解説します。
これからNISAを始めたいと思っている方や、新NISA制度に興味がある方はご覧ください。
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現行制度および「令和5年度税制改正大綱」より筆者作成
変更点がいくつかありますが、どれも投資家にとっては有利なものばかりです。ここからは詳細に変更点について解説していきます。
もし切り替える場合は、原則として、変更を希望する年の前年10月から12月までの間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要があります。
また、変更しようとする年に、すでに一般NISAで買付を行ってしまった場合は、変更できるのは翌年の投資分からとなります。
新NISA制度では、下記のように名称が変わり、2種類の枠が併用可能となります。
そのため成長投資枠(現行の一般NISA)では積極的な運用を行い、つみたて投資枠(現行のつみたてNISA)では安定的な運用を目指すなど、より投資戦略の幅が広がります。
種類 | 年間投資上限額 |
一般NISA | 120万円 |
つみたてNISA | 40万円 |
種類 | 年間投資上限額 |
成長投資枠 (現行の一般NISA) |
240万円 |
つみたて投資枠 (現行のつみたてNISA) |
120万円 |
合計 | 360万円 |
年間投資上限額が最大で合計360万円に上昇したため、毎月最大10万円を積み立てることができるようになります。
種類 | 生涯非課税限度額 | |
成長投資枠 (現行の一般NISA) |
1,200万円 | |
つみたて投資枠 (現行のつみたてNISA) |
1,800万円 − 成長投資枠で使用した額 |
1,800万円 − 成長投資枠で使用した額 |
合計 | 1,800万円 |
また売却した場合には、買付金額分の枠が復活します。これによって利益確定売りや、お金が必要になった場合に換金がしやすくなります。
さらに、新NISA制度での生涯非課税額は、現行の制度と別枠とみなされます。そのため合計の限度額は現行制度を利用している人の方が多くなります。
種類 | 非課税保有期間 |
一般NISA | 5年間 |
つみたてNISA | 20年間 |
種類 | 非課税保有期間 |
成長投資枠 (現行の一般NISA) |
無期限 |
つみたて投資枠 (現行のつみたてNISA) |
無期限 |
特に現行制度の一般NISAでは非課税保有期間が短かったため、下記の問題がありました。
非課税保有期間が無期限となった新NISA制度では、上記の問題が解消されます。
種類 | 期間 |
一般NISA | 2023年まで |
つみたてNISA | 2042年まで (新規買付は2023年まで) |
種類 | 期間 |
成長投資枠 (現行の一般NISA) |
無期限 |
つみたて投資枠 (現行のつみたてNISA) |
無期限 |
これによって、より長期的な観点で投資を行うことができるようになります。
読者の方の中には、いつからNISAを始める時期について迷ってしまう方もいるかもしれません。
2023年については現行NISAの制度のままですので、つみたてNISAであれば年間40万円、20年間が非課税枠です。ただし、こちらは2024年以降の新NISAとは別枠で利用することができますので、利用した方が有利です。
これからNISAを始めてみたいという方は、2024年を待つことなく、今年から始めてみてはいかがでしょうか?
宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。
新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。現在はメディア制作事務所マネーエスコート代表。
金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。
20代〜40代の方向けの情報サイト「マナブロ」も運営中。家計、生活、家電、アプリなど6ジャンルを掲載。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。