厚生労働省が発表した「令和3年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性は87.57歳でした。今後も平均寿命は年々伸びることが予想されており、まさに人生100年時代を迎えようとしています。
人生100年時代は楽しく過ごしたいところですが、心配になるのは何といっても“お金“。「老後資金は足りるのだろうか?」「長生きリスクにはどう対応していけば良いのか?」こんな不安を感じている方は少なくないと思います。
そこで今回の記事では60歳以降の生き方として注目されている「WPP戦略」について解説していきます。この記事を読むと「WPP戦略」の考え方や具体的な生活スタイルが分かります。
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定年退職後も再雇用などで長く働き、私的年金・退職金・貯蓄などを取り崩して公的年金の受給を繰り下げ、その後は公的年金を受給して生活していきます。国民年金や厚生年金の受給開始時期を遅らせるほど年間受給額が増える仕組みを活用した戦略です。
具体的には以下のような生活スタイルが考えられます。
ここからはWPP戦略について詳細に解説していきます。
再雇用については政府も後押しをしていて、2021年4月からは「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の一部が改正され、70歳までの就業機会の確保が努力義務になりました。徐々に70歳まで働ける企業が増えていくことが予想されますので、WPP戦略においては追い風と言えます。
再雇用時の年収は退職前に比べると一般的には下がりますので、生活費の不足する場合には企業型DC(企業確定拠出年金)iDeCo(個人型確定拠出年金)といった私的年金を受け取ることでカバーします。
あとはこの増額した公的年金をもとに生活をしていきます。公的年金の受給は生涯続きますので、長生きリスクの備えにもなります。
なお、繰り下げできる年齢は最高で75歳ですが、66歳0ヶ月から1ヶ月単位で繰り下げ可能です。66歳0ヶ月に繰り下げるだけでも、65歳から年間240万円を受給予定の方の年間受給額は、約260万円(=240万円×1.084)に増えます。
そのため、もし再雇用などが上手くいかなく、75歳より前に公的年金受給を開始する必要が出てきたとしても、繰り下げておいて損はありません。
WPP戦略を成功させるためには長期的な計画が必要不可欠です。ライフプランシミュレーションなどを用いてライフプラン表を作成することをおすすめします。
人によっては、WPP戦略を実行する前に、家計の見直しなどを行なった方が良い場合もあります。またiDeCoやNISAなどの公的制度を上手く活用することも大切です。
WPP戦略を用いて、人生100年時代を楽しく過ごしていきましょう。