最近世間を騒がせている話題のひとつである「物価上昇」。自分たちの生活に大変身近な問題にもかかわらず、なぜ物価上昇が起こっているか、何が問題かなどを具体的に理解していない方も多いのではないでしょうか。
この記事では今起きている物価上昇の特徴を捉え、具体的に私たちの生活にどのような影響が及んでいるか、その影響に対してどういった対策を打つべきかを解説します。
インフレとは、物価上昇が続き相対的に通貨の価値が下がることを指します。例えば、今まで100円で買えたパンが200円に値段が上がると、同じものにより多くのお金が必要になるため、お金の価値は下がったということになります。インフレが起こる原因は様々ですが、一般的には原材料費の高騰、為替の影響や賃金の上昇などがあります。
では、今起きているインフレは、何が原因だったのでしょうか。この原因は複数あります。まずはロシアによるウクライナ侵攻。ロシアは石油、ガス、金属、ウクライナは小麦やトウモロコシの主要供給国のため、これらが供給不足となり、輸入国や関係国に大きな影響がでました。小麦に関してはアメリカやカナダの不作も影響しています。
次にコロナ対策のまん延防止等重点措置の解除などによって国民の消費活動が活発になったことです。ただし、コロナの感染拡大に伴う今後の影響は不明です。また、日銀が金融緩和政策によって消費者物価2%上昇を目指していることなども原因の一つです。
インフレには「景気が良くなる」「賃金が上がる」などのメリットがありますが、今回のインフレは「悪いインフレ」と呼ばれています。理由はいくつかあります。
まず今回のインフレは、経済活動が活発になったことよりも原材料の高騰が大きな原因であるためです。先述の通りロシアによるウクライナ侵攻は非常に大きな影響がありました。
次に、2021年の内閣官房の賃金・人的資本に関するデータ集の発表内容によると、賃金の引き上げに不可欠な労働生産性が年0.3%と低い伸び率であったり、他国と比べても日本の賃金の上昇率が低いためです。
このように、通常のインフレで起きる「景気が良くなる」「賃金が上がる」の影響が小さいのです。つまり、賃金の上昇率が低く収入が増えにくいにもかかわらず、商品の仕入れ価格が上昇したことにより身の回りの商品が値上がりしているという悪循環が起きているのです。
総務省が2022年7月に発表した消費者物価指数によると、2年前の同月と比べ総合指数が2.6%上昇しています。しかし、この数字だけを見ても具体的に何がどれだけ値上げしているかわかりづらいため、より具体的なデータをみていきましょう。
まず、身の回りのもので値上げしているものを挙げてみます。
食品では即席麺、パン・小麦粉、冷凍食品、缶詰、乳製品、調味料、菓子類、飲料など幅広く値上げしています。例えば即席麺の値上げの原因は、麺の主要な原材料の小麦の値段が上がっただけではなく、包材をはじめとする資材価格やエネルギー費、物流費も上昇していることも原因です。もちろんスーパーで買う場合だけではなく、飲食店でも値上げされています。食べ物以外でも、日用品、光熱費、交通・輸送などが値上げされています。
次に、具体的にいくら値段が上がったかをみていきましょう。
製品 (メーカー名) |
値上げ内容 |
即席カップ麺 (日清食品) |
2022年6月よりメーカー希望小売価格を5〜12%アップ |
家庭用パスタ・家庭用小麦 (昭和産業) |
同年8月よりスパゲッティ1.6mm結束タイプのメーカー希望小売価格491円を525円に価格改定 |
マヨネーズ (キューピー) |
同年10月の出荷分から参考小売価格の価格改定率を約2〜20%アップ。 マヨネーズ(450g)403円が439円に価格改定 |
おむつ (花王) |
同年4月出荷分から出荷価格改定率をプラス約10%に価格改定 |
家電 (アイリスオーヤマ) |
同年6月出荷分から順次、家電製品の一部を現行価格のプラス10%以上に価格改定 |
一つ目は、「支出を減らすこと」。同じ生活をしているだけで以前よりも支出が増えていることを認識しましょう。支出を抑えるために、まず無駄なものは買わない、より安い代替品を買う、などを行えば、物価上昇の影響を小さくすることができるでしょう。
二つ目は、「お金をモノに変えること」。インフレ時の物価上昇は相対的にお金の価値を下げることに繋がります。そのため、タンス預金のように資産を現金で持っているだけでは、お金の価値が下がってしまいます。銀行で低金利の状態で預金するだけではなく、債券や株式などの金融資産で運用したり、マンション経営のような不動産投資も検討してみましょう。
ただし、投資する場合に高いリターンを求めれば高いリスクを伴い、リスクを抑えようとすると低いリターンとなってしまいます。自分にはどの投資方法が合うかよく考えてから始めましょう。