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資産所得倍増プランを分かりやすく解説!

2022年5月、岸田首相はロンドンの金融街で「新しい資本主義」に関する講演を行い、「インベスト イン キシダ(岸田に投資を)」と訴えて話題になりました。

この講演の中で、「新しい資本主義」の具体策として言及したのが「資産所得倍増プラン」です。

岸田政権が打ち出した資産所得倍増プランとはどのようなものなのか、分かりやすく解説します。


このページの目次

  • 資産所得倍増プランとは?
    • 背景
    • 目的
  • 資産所得倍増プランの内容
    • NISAの拡充
    • iDeCoの改革
    • その他
  • まとめ

資産所得倍増プランとは?

資産所得倍増プランは、「貯蓄から投資」を促すものです。

個人の持っている預金や現金を投資にまわして、そこから得られるお金を増やし、家計を豊かにすることを目指しています。

背景

日本銀行の資料によると、日本の家計金融資産約2,000兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されています。

家計金融資産全体における預金・現金の割合は、米国は13.3%、ユーロ圏は34.3%です(2021年3月末現在)。


岸田首相は講演の中で、「この結果、この20年間で米国では家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になったのに、我が国においては1.4倍にしかなっていません」と指摘しました。


目的

家計で眠る預金や現金を投資に誘導することを目的としています。
これによって企業価値を向上させ、株価上昇や配当などを通じてその恩恵が家計に及ぶという好循環をつくり出す狙いがあります。

「人生100年時代」や老後資産の不足が指摘される現在、個人個人が長期的な資産形成に取り組み、老後に備えてほしいという政府の思惑が見て取れます。

資産所得倍増プランの内容

2022年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(以下「実行計画」)では、資産所得倍増プラン策定の方針として、貯蓄から投資のための施策がいくつか挙げられました。

中でも注目されているのが、「NISAの拡充」と「iDeCoの改革」です。

NISAの拡充

「実行計画」では、「NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充を図る」としています。

NISAとは、毎年一定金額の範囲内で、投資で得た利益が非課税になる制度です。

NISAには、年間120万円までを5年間非課税で運用できる「一般NISA」、年間40万円までを20年間非課税で運用できる「つみたてNISA」がありますが、いずれも時限措置であることや、非課税枠の小さい点がたびたび指摘されてきました。

そのため、「NISAの抜本的拡充」として、NISAの恒久化や非課税枠の拡大が予想されます。

iDeCoの改革

iDeCo(個人型確定拠出年金)については、加入可能年齢を70歳まで引き上げることが示唆されています。

iDeCoとは、公的年金に上乗せして任意に加入できる私的年金制度の一つです。税制上のメリットを受けながら、自分で掛金を拠出し、自分で運用して、老後に備える資産を形成することができます。

iDeCoの加入可能年齢は今年5月に「60歳未満」から「65歳未満」に引き上げられたところですが、高齢者の雇用拡大を見据え、さらなる延長が検討されています。

その他

このほか、「金融リテラシーの向上」や「将来の年金額等の見える化」などが挙げられています。
金融リテラシーの向上については、2022年4月から高校で金融教育が始まりましたが、これが一般にも広がることが予想されます。


まとめ

「貯蓄から投資」は叫ばれて久しいスローガンですが、これまでなかなか進んできませんでした。
今回の施策で本格的に貯蓄から投資を促すことができるのかがされています。

なお、資産所得倍増プランの具体策は2022年末に策定される予定です。具体的にどのような内容が盛り込まれるのか、注視していきましょう。

〈参考〉
内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/
atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf

日本銀行「資金循環の日米欧比較」
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/
statement/2022/0505kichokoen.html