厚生労働省が公表した「令和2年簡易生命表 1主な年齢の平均余命」によると、2020年の男女別平均寿命は男性が81. 64年、女性が87. 74年でした。
近年は、2020年頃から世界的に流行している新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人々の健康への意識も高まっているように見受けられます。
様々な疾病、感染症、生活習慣病、ケガなどの病気は、健康的な生活を送っていても発病するリスクをゼロにすることはできません。
もしも何かの病気になってしまったら、現在の生活はどうなるでしょうか?あなたは有事への備えができていますか?
本記事では、日本人の死因の中で最も多い病気と病気別医療費ランキングをご紹介しながら、どの病気に対してどの程度の医療費や備えが必要かを一緒にみていきます。
ご自身も家族も安心して健康的な生活が送れるよう、この機会に病気や医療に対する意識を見つめ直してみましょう。
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病気になってもこの医療保険制度を利用することで、6歳以上70歳未満の人は誰でも7割の医療費補助を受けることができ、自己負担分は3割となります。(6歳未満は2割負担、70歳以上は1~3割負担)
また、月ごとの自己負担限度額を超える部分について償還を受けることができる高額療養費制度が存在します。
年収別に月ごとの限度額が決まっており、複数の医療機関で治療を受けた月に医療費総額が限度額を超えていれば、事後的に償還を受けることができます。
公的な医療費補助は病気や施術内容によって医療保険の対象外となることもあるため、注意が必要です。
まずは、特定の疾患を患って治療に先進医療の技術が必要となる場合です。
先進医療は、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養と定められており、医療費総額のうち先進医療にかかる費用については全額自己負担となります。
令和4年2月1日時点で、合計81種類の技術が先進医療として認められており、要件を満たした一部の医療機関で療養を受けることができます。
先進医療費のほかに必要な自己負担の費用項目は、療養のために入院が必要となった場合の食事療養費、差額ベット代、ご家族のサポート費用、日用品などの雑費です。
食事療養費は一部補助を受けることができますが、その他の項目については入院時のライフスタイルによって金額が変動します。
ご参考までに、生命保険文化センターが実施した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、1日あたりの平均自己負担費用は23,300円となっています。
心に留めていただきたいことは、一概に「病気の医療費」と言ってもケースバイケースで、病状や手術・入院の有無などによっても必要となる経費は変動するということです。
どんな病気に、どれほどの医療費が発生する可能性があるのか、知ることができると良いですよね。
そこで、日本人の死因トップ5にランクインする病気や保険適用外の高額な先進医療技術に基づいた事例で、目安となる医療費を示していきます。あくまで参考程度にご覧ください。
(表1) 疾病分類別、1件当たり診療費 (単位:円)
疾病 | 1件あたり診療費※ |
悪性新生物<腫瘍>(がん) | 769,917 |
虚血性心疾患 | 794,012 |
脳血管疾患 | 849,590 |
肺炎 | 326,446 |
入院した場合の4つの疾病にかかる一件あたり診療費の平均は約68.5万円です。ただし、上述の高額療養費制度を利用することで、一定額を超える窓口負担分が償還されます。
また、診療費は医療費の一部にあたり、食事療養や薬剤にかかる費用などは考慮されていないので医療費総額はより高い可能性があります。
先進医療Aの自己負担金額の実績に基づいた順位 (単位:円)
先進医療技術名 | 件数 | 自己負担金 | |
1 | 陽子線治療 | 1,196 | 2,714,943 |
2 | MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法 | 1,114 | 107,640 |
3 | 重粒子線治療 | 703 | 3,123,757 |
がん治療に利用される陽子線治療による療養が必要だとすると、最低でも1件あたり約270万円の自己負担金が必要となり、その他の費用も含めれば医療費総額はさらに高額になります。
ただし、表中の自己負担金は平均値であり、病院や治療内容によっても必要な医療費は変動すると考えられます。
(表2) 年齢階級、傷病分類別医科診療医療費(上位5位) (単位:億円)
65歳未満 | 65歳以上 | |||
1 | 新生物<腫瘍> | 16,099 | 循環器系の疾患 | 48,828 |
2 | 循環器系の疾患 | 12,540 | 新生物<腫瘍> | 31,360 |
3 | 呼吸器系の疾患 | 11,474 | 筋骨格系及び結合組織の疾患 | 17,938 |
4 | 精神及び行動の障害 | 10,261 | 損傷、中毒及びその他の外因の影響 | 16,769 |
5 | 腎尿路生殖系の疾患 | 8,212 | 腎尿路生殖系の疾患 | 14,831 |
国による医療費補助を一般に公的医療保険と言いますが、公的医療保険以外に、民間の保険会社が提供する民間医療保険を利用する方法があります。
民間医療保険には様々な種類がありますが、終身医療保険、定期医療保険、貯蓄型医療保険、女性特化型医療保険、引受基準緩和型医療保険などが一般的です。
医療保険によって保障対象の疾病が異なり、保険金の支払額や入院時の支給額・支給期間も変わるのでご自身の保険料の許容範囲と比較しながら、保険の加入を検討しても良いでしょう。
また、上述の通り、先進医療費は高額になる可能性が高いので、先進医療にかかる特約付きの医療保険を選択することも選択肢の一つでしょう。
普段あまり意識しない医療費に関するリスクを認識したら、実際に公的医療保険の制度を詳しく調べたり、民間医療保険の利用を前向きに検討してみたりなど、行動に移してみましょう。
誰にでも病気になる可能性があり、発病後の対応が間に合わない事態にならないよう、ご自身と家族のためにも意識を高めていきましょう。